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この曲この一枚 その18 ベート-ヴェン ピアノ協奏曲第5番変ホ長調「皇帝」作品73

2010年12月07日 | この曲この一枚
 

ベートーヴェンの「皇帝」はクラシック音楽が好きになってから、最初の頃にとてもよく聴いた曲の一つ。
この曲が作曲されたのは1810年、40歳になるベートーヴェンにとっては創作力の絶頂にあった時で、1804年の「英雄」交響曲に始まり、歌劇「フィデリオ」、ヴァイオリン協奏曲ニ長調、3曲の「ラズモフスキー」弦楽四重奏曲、交響曲第5番「運命」、第6番「田園」など傑作の森と言われる作品が次々と生み出されている。
そしてこの壮麗な堂々とした協奏曲が続くわけだから、ベートヴェンが付けたわけでもない「皇帝」の名前が最高にふさわしいものに思えるのは当然という気がする。
この盤は1962年の録音だから、まだ新進のバーンスタインがニューヨークフィルを前に若々しい指揮ぶりを行っていた時期で、ゼルキンをアシストする気概がとても素晴らしく聴く者の心を引き付けて止まないものがある。
ゼルキンは1903年、ボヘミヤのエーゲルでユダヤ系ロシア人の家庭に生まれている。
9歳の時ウィーンに出てピアノと作曲を学び、1920年からは本格的な演奏活動を行うようになったが、1933年にユダヤ人であるためにヨーロッパを去りアメリカに移っている。
その後36年にはトスカニーニ指揮のニューヨークフィルと協演して大成功を収めているから、この盤を録音したころはとても意気盛んな弾きぶりを示していて何とも頼もしい。
彼は約20年後にこの曲を再録音しているが、私にとってはこの盤が唯一無二の「皇帝」であり、「この曲この一枚」としてぜひ耳を傾けてほしいと思う。
廃盤になって久しいが録音も素晴らしいし、何とか再発をしてもらうわけにはいかないものだろうか。
・ルドルフ・ゼルキン<P>、レナード・バーンスタイン指揮、ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団(1962年録音)<CBS>
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