クラシック 名盤探訪

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とっておきの名盤 その100 プッチーニ 歌劇「ボエーム」

2007年09月04日 | とっておきの名盤「オペラ」
プッチーニの「ボエーム」は本当に好きな曲で、「とっておきの名盤100選」ともなる今回の記事に、この曲この盤を選んだのも好きなればこその一言に尽きる。
プッチーニ自身、自分の書いたオペラのヒロインの中でミミを最も愛していたという。
ミミを愛すべき娘に描こうと、彼は力の限りを尽くしてペンを走らせていて、何とも聴く者の胸を切なくも締め付ける。
ここには歌、歌、歌があり、CDを聴き始めるや、私はいつのまにか歌に溺れ、現実のはるか遠くをさまよっている。
この盤は、まずオペラに真骨頂を発揮するレヴァインの若々しい感性に満ちた指揮ぶりが素晴らしく、その冴え渡った棒はこのオペラに必要なドラマ的な要素を過不足なく示している。
私がこのオペラで特に重要視する叙情的な表現も満足この上ない素晴らしさだ。
さらに主役の二人を歌うスコットとクラウスの何とも見事なこと。
ミミを歌うスコットは私の最も好きなソプラノの歌い手の一人、その役になりきった歌の表現はいつも最高に自然で、聴いているだけでいつの間にかミミの切ない気持ちに引き込まれている自分に気づく。
ロドルフォを歌うクラウスは、声量豊かに歌い上げると言うのではなく、むしろ洗練された気品さえ感じられる歌いぶりが魅力的。
100選目となるとっておきの名盤として、絶対にはずせない一枚。
この曲のベスト・ファイヴを挙げると、
・セラフイン指揮、ローマ聖チェチーリア管弦楽団、テバルデイ<S>、ベルゴンツイ<T>、バスティアニーニ<Br> <DECCA>
・レヴァイン指揮、ナショナルフィルハーモニー管弦楽団、スコット<S>、クラウス<T>、ミルンズ<Br> <EMI>
・ケントナガノ指揮、ロンドン交響楽団、キリテカナワ<S>、リーチ<T>、ティツス<Br> <ERART>
・ペレットーニ指揮、ミラノスカラ座管弦楽団、アルバネーゼ<S>、ジーリ<T>、ポリ<Br> <EMI>
・サンティーニ指揮、トリノイタリア放送管弦楽団、カルテリ<S>、タリアヴィィーニ<T>、タッデイ<Br> <CETRA>
初演を指揮したトスカニーニのCDは別格で、この作品が好きな人のバイブル的存在。
そして、私だけのとっておきの銘盤が、スタインコプフ指揮、アイッペルレ<S>、アンダース<T>、ファッスベンダー<Br> <ANDROMEDA>