goo blog サービス終了のお知らせ 

毎日が観光

カメラを持って街を歩けば、自分の街だって観光旅行。毎日が観光です。

街でいちばんの首つりの木

2008年04月29日 22時48分54秒 | 写真


 20代の頃、電車に乗って北フランスを旅していたとき、車窓から、木に人がぶら下がっているのを見つけたことがある。それは大層絵的に決まっていて、ぼくは寒々とした景色の中の首つりに大変感心した覚えがある(いや、感心じゃなく、通報だろ、その場合、というツッコミも今にして思えば)。
 それからしばらくたって、30代になったとき、ロンドンからパリまで電車で行く途中、もう一度、その首つりに出会った。
 作り物なのか、それは。それとも旅の疲れで見た錯覚なのか。
 今となってはわからない。でも、まるでビヤンブニュと言わんばかりに、首つりの死体はナイスなパフォーマンスを見せてくれたのだった(いや、まあ、動かないでいるだけだったのだが)。
 あれ以来、ぼくは木を見るとついつい首つりを思い起こしてしまう。
 もちろん、いつもじゃない。木を見るたびに首つりを思っていたら、街を歩いていても10メートルごとに首つりを妄想しなくてはならない。まあ、たいてい、心が折れ曲がっているときなんだけれど。
 でも、うーん、全体的に悪くないんだけど、首をくくるにゃ枝振りがイマイチだとか。そんなことを思ったりする。木からすれば余計なお世話である。
 おまけに自殺願望などというものがまるでないぼくは、自分が首をつる姿を想像するんじゃなく、あくまでその木にぶらさがってる首つりを観察する傍観者の立場。おいおい、である。心の折れ方が足りないだろうとも思う。
 そんな中、久しぶりに木を見て首つりを思った。
 ちょっとプライヴェートでいろいろあって、心が北方の病って感じがしたこの頃。春なのに。いや、もうすぐそこに初夏が顔をのぞかせているのに。
 季節と心と時差があるみたいだけれど、いつかそのうち心にも春の風が吹くだろう。
 と日記には書いておこう。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 田島ヶ原サクラソウ自生地 | トップ | 三ノ輪 円通寺 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。

写真」カテゴリの最新記事