電気問屋の経営で成功した片桐勝蔵氏が昭和13(1938)年に建てた邸宅。 木造瓦屋根の和風住宅に洋風意匠を取り込んだモダンな建物で、安田銀行の安田和重氏の紹介で設計者を選んで建てたものといわれます。 平成10(1998)年に片桐氏の娘さんから市川市に寄贈され、同市の文化活動を支える拠点のひとつとして開放されていましたが平成23(2011)年3月に発生した東日本大震災で建物は損傷。 修復費用などの問題から再建は断念され、建物も解体され跡地も売却される予定のようです。 千葉県市川市中山3-15-8 09年02月上旬ほか
アプローチを抜けた先にある正面玄関。 3連の縦長窓が建物の特性を伝えています。
照明器具の明かり、そしてステンドグラスを通して室内から伝わる灯火が訪問者を暖かく迎え入れる。
この彫刻の飾り板(?)は何でしょうね。
玄関と脇玄関の差異はあまり無さそう。
入って奥にある洋間。 窓からはお庭が見え陽光が降り注ぎます。
居室は全て畳敷きでフローリングの洋間はここだけ。 小さな丸窓にはステンドグラスが嵌まっています。 かつてはステンドグラスの横に暖炉もありましたが老朽化により撤去されたそうです。
小鳥とチューリップの図柄が可愛らしい。 拙ブログのプロフィール欄でも使用させて頂いているお気に入りのものなので建物が解体されるのは本当に残念です…。
廊下から洋間へ入る扉の上にも市松模様のステンドグラスがありました。
ガラス扉。
この縁側にも家族の思い出が一杯詰まっていそうですね。
廊下側の障子には富士山と駿河湾を行き交う帆掛け船をあしらっています。
食卓を囲んで家族の食事が今にも始まりそう。
クランクの先にも和室があります。
3間続きの和室の一番東の部屋。
雨戸が隠れていました。
台所は昭和の台所といった趣。
造り付けの食器棚。
玄関ホールに向かって廊下を進みます。
途中にあった風呂場。 痕跡から判断するに風呂釜は小さそうです。
玄関ホールに戻ってきました。 係の方の解説を聞きながら熱心に写真を撮っていたら建物好きという事が伝わったのか、通常は非公開の2階へ上がっても良いと言って下さいました。
2階へ。 訪問時は補修工事用の足場が建物に掛かっていたので外の景色を撮らなかったのが悔やまれます。
2階は和室が2間ありました。
邸宅は少し高台にあるので南側の眺望は開けており、建った当時は他に高い建物も無かったから2階からは海まで見渡せたようです。
外に出てお庭へ回ります。 庭側からの写真は後日再訪して撮り直したものになります。
洋間にはグリーンのスペイン瓦が葺かれ、当時流行った南欧風のテイスト。
震災が憎らしい。
門の上のオブジェは市内在住の彫刻家の作品。 市民にも愛された建物が姿を消していきます。
長い事、返信のコメントもせずに大変申し訳ありませんでした。
拙ブログからの写真の転載は全く問題ありませんよ。
早速きたろうさんのブログを拝見させて頂きましたが、旧片桐邸はやはり解体されてしまったのですね。
塀だけが残った跡地を実際に目にすると、何とも空虚な気持ちばかりになってしまいます。