平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

花燃ゆ 第39回「新しい日本人」~あの者たちと地に足をつけて生きていくことも新たな道の始まりじゃ

2015年09月28日 | 大河ドラマ・時代劇
 前半は、女性のたくましさが描かれた。
 奥を閉じられることが発表されて、奥の女性たちは動揺するが、
 自分たちには、
 ふるまい、
 見だしなみ、
 行儀作法、
 お花、
 料理、
 裁縫、
 畑での野菜のつくり方などがあり、それらが生きる力になると確信し、自分の力で生きていけると信じる。
 そして、合い言葉は
「世話ぁない!」

 要するに作家さんは、自立してたくましく生きる女性が好きなんですね。
 いかにも女性脚本家らしい。
 いささか説教くさい感じもしますが……。
 女性のたくましさの描写としては、次のふたりの描写の方が好きだなぁ。
・どうせ外に出るのなら、大きな世界に出てみたいと考えて、上海に行く日出(江口のりこ)。
・洋装をして「良いではないか!」と大喜びする銀姫(田中麗奈)。
 彼女たちは切り替えが早い。
 過去への感傷などなく、未来に生きる。

 後半は、楫取素彦(大沢たかお)が地に足をつけて働く人間になる話。
 <尊皇攘夷>という観念の世界に生きていた楫取。
 そんな彼が<土の人間>になる。
 簡単に溶け込むことはできないが、自分も民のひとりになろうとする。
 そうすることが、百姓・町民の奇兵隊を助けられなかった自分への贖罪でもあった。

 楫取は美和(井上真央)にしみじみと語る。
「あの者たちと地に足をつけて生きていくことも新たな道の始まりじゃ」
 楫取が前に進むためには、民と共に生きていく作業が必要であったのだろう。
 土にまみれ、民と共に生きていく政治家の誕生である。
 美和もその同志になると名乗り出た。

 <政治>と<民>の融合。
 思えば、美和はすでに実践していたんですね。
 大奥にいながら畑仕事をしていた。
 輿丸にもやるように勧めたし、毛利敬親(北大路欣也)も触発されて、それをやった。

 目を現代に転じれば、政治家は皆、世襲議員のおぼっちゃんで、官僚は東大などの一流大学出の頭でっかち。
 どう考えても土にまみれて生活したことはない。

 さてドラマ。
 大雨の中、楫取に恨みを抱いていた元奇兵隊の中原復亮が「手伝わせて下さい!」と助けに来るところや、「自分の不甲斐なさをあんたにぶつけとったんです」と心情を説明で語るところは、脚本として相変わらずダサい。
 そもそも中原復亮なんて、今までほとんど描かれて来なかった。
 今回のテーマで語れば、脚本家さんには、個々の人物をもっと掘り下げ、地に足をつけた形で描いてほしいものだ。
 美和だって言っている。
「大切に耕してこそ苗は根付く」
 今のままじゃ、苗(=登場人物)はまったく根付いていないですよ、脚本家さん。

コメント (3)
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