「不法かつ巧妙な手口で蓄財をなし得た検校たちはもはや弱い者にあらず!」
相手を借金漬けにしてすべてを奪う盲(めしい)の当道座の者たち。
これで鱗形屋は贋版に手をつけてお咎め。
旗本は娘を売ることになったり家督を求められたり。
この時代は「貨幣経済」で「米経済」ではないんですね。
だから米で給料をもらっている武士は米の値段が下がれば困窮する。
逆に商人は力を増して来る。
士農工商で社会秩序を維持しようとしても、この流れは抑えられない。
当初は弱者救済の当道座の特権だったが、この既得権で富を貪るようになって来た。
この時代の流れを理解して糺そうとする田沼意次(渡辺謙)。
その方法のひとつが「重商主義」「貨幣経済への移行」。
もうひとつが「既得権の打破」。
この作品は「経済」で江戸時代を表現している。
面白い。実に面白い。
ただ、これを推進する田沼意次もなかなか腹黒く、自分の権力維持に余念がない。
まあ、権力を持たなければやりたいことは出来ませんからね。
権力を手放せば、松平武元(石坂浩二)らが力を持って、たちまち昔に戻ってしまう。
さて江戸城での政争も面白くなって来ました。
「西の丸様」の徳川家基(奥智哉)などは、部下の管理不行届きで今回面目を潰された。
…………………………………………
そんな中、蔦重(横浜流星)は悩んでいる。
商売がたきの鱗形屋の没落を喜べないのだ。
「皆がツキまくる世ってのはねえもんですかね?
誰かのつまづきの上にツキが成り立っているのは……」
資本主義社会が到来すつつある時代に蔦重は戸惑っている。
相手を追い落とすことに抵抗を持っている。
この点、今回の蔦重は田沼意次と対比するキャラになっている。
この悩みに対して平賀源内(安田顕)は「本屋」の意義を説く。
「本ってなぁ、人を笑わせたり、泣かせたりできるじゃねぇか。
んな本に出会えたら人は思うさ『あぁ、今日はついてた』って」
「本屋ってなぁ、ずいぶんと人につきを与えられる商いだと俺ゃ思うけどね」
この源内の言葉で蔦重は瀬以(小芝風花)とのことを思い出した。
本は瀬以を慰め喜ばせた。
本はふたりを繋いでくれた。
しかし、ふたりを繋いでいた本が戻って来た……。
…………………………………………
鳥山検校(市原隼人)と瀬以。
僕はすっかりいい夫婦になったと思っていたが、間違っていた。
瀬以の心はいまだに蔦重にあり、鳥山検校はこれを見抜いていた。
寂しさ、悔しさも感じていた。
「なぜ吉原の者といる時のように声がはずまぬ?」
「しょせん私は客ということか?」
「いくらカネを積まれようとも心は売らぬ。おまえは骨の髄まで女郎だった」
〝骨の髄まで女郎だった〟
瀬以の心をえぐるすごい台詞だ。
同時に哀しい。
これを受けて瀬以。
「重三はわっちにとって光にござりんした」と蔦重に思いがあったことを認める。
一方で検校にわびる。瀬以も理解していた。
「人の心を察し過ぎる主さんをわっちのいちいちが傷つけているということを」
「人というのはどうしておのれの心ばかりは騙せぬのでありんしょう?」
すごいやりとりでした。
「すごい」「お見事」という他ない。
これに加えて検校の逮捕という出来事が起こるのだから、脚本の森下佳子さんは意地悪だ。
僕はどうしても鳥山検校に感情移入してしまうのだが、さて次回、検校は何を語るのか?
瀬以の言葉も待ち遠しい。
※追記
うつせみと新之助はあのまま足抜けだった。
身代金のエレキテルと神隠しということで、このまま見逃してほしいのだが……。
相手を借金漬けにしてすべてを奪う盲(めしい)の当道座の者たち。
これで鱗形屋は贋版に手をつけてお咎め。
旗本は娘を売ることになったり家督を求められたり。
この時代は「貨幣経済」で「米経済」ではないんですね。
だから米で給料をもらっている武士は米の値段が下がれば困窮する。
逆に商人は力を増して来る。
士農工商で社会秩序を維持しようとしても、この流れは抑えられない。
当初は弱者救済の当道座の特権だったが、この既得権で富を貪るようになって来た。
この時代の流れを理解して糺そうとする田沼意次(渡辺謙)。
その方法のひとつが「重商主義」「貨幣経済への移行」。
もうひとつが「既得権の打破」。
この作品は「経済」で江戸時代を表現している。
面白い。実に面白い。
ただ、これを推進する田沼意次もなかなか腹黒く、自分の権力維持に余念がない。
まあ、権力を持たなければやりたいことは出来ませんからね。
権力を手放せば、松平武元(石坂浩二)らが力を持って、たちまち昔に戻ってしまう。
さて江戸城での政争も面白くなって来ました。
「西の丸様」の徳川家基(奥智哉)などは、部下の管理不行届きで今回面目を潰された。
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そんな中、蔦重(横浜流星)は悩んでいる。
商売がたきの鱗形屋の没落を喜べないのだ。
「皆がツキまくる世ってのはねえもんですかね?
誰かのつまづきの上にツキが成り立っているのは……」
資本主義社会が到来すつつある時代に蔦重は戸惑っている。
相手を追い落とすことに抵抗を持っている。
この点、今回の蔦重は田沼意次と対比するキャラになっている。
この悩みに対して平賀源内(安田顕)は「本屋」の意義を説く。
「本ってなぁ、人を笑わせたり、泣かせたりできるじゃねぇか。
んな本に出会えたら人は思うさ『あぁ、今日はついてた』って」
「本屋ってなぁ、ずいぶんと人につきを与えられる商いだと俺ゃ思うけどね」
この源内の言葉で蔦重は瀬以(小芝風花)とのことを思い出した。
本は瀬以を慰め喜ばせた。
本はふたりを繋いでくれた。
しかし、ふたりを繋いでいた本が戻って来た……。
…………………………………………
鳥山検校(市原隼人)と瀬以。
僕はすっかりいい夫婦になったと思っていたが、間違っていた。
瀬以の心はいまだに蔦重にあり、鳥山検校はこれを見抜いていた。
寂しさ、悔しさも感じていた。
「なぜ吉原の者といる時のように声がはずまぬ?」
「しょせん私は客ということか?」
「いくらカネを積まれようとも心は売らぬ。おまえは骨の髄まで女郎だった」
〝骨の髄まで女郎だった〟
瀬以の心をえぐるすごい台詞だ。
同時に哀しい。
これを受けて瀬以。
「重三はわっちにとって光にござりんした」と蔦重に思いがあったことを認める。
一方で検校にわびる。瀬以も理解していた。
「人の心を察し過ぎる主さんをわっちのいちいちが傷つけているということを」
「人というのはどうしておのれの心ばかりは騙せぬのでありんしょう?」
すごいやりとりでした。
「すごい」「お見事」という他ない。
これに加えて検校の逮捕という出来事が起こるのだから、脚本の森下佳子さんは意地悪だ。
僕はどうしても鳥山検校に感情移入してしまうのだが、さて次回、検校は何を語るのか?
瀬以の言葉も待ち遠しい。
※追記
うつせみと新之助はあのまま足抜けだった。
身代金のエレキテルと神隠しということで、このまま見逃してほしいのだが……。