ダウンワード・パラダイス

「ニッポンって何?」を隠しテーマに、純文学やら物語やら、色んな本をせっせと読む。

3度目の戸締まり

2022-12-28 | 君の名は。/天気の子/すずめの戸締まり
 12月25日、『すずめの戸締まり』、3度目の鑑賞。同じ映画を3回も劇場まで足を運んで観るのはこれが初めて。
 冬休みに入り、日曜ということもあってか、早朝にも関わらずほぼ満席。小さいお子さんを連れたファミリーが目立った。
 ぼくのばあい、2度目の鑑賞は、かなり分析的というか、批評的に見てしまったので、ややストーリーに没入できなかったきらいがあり、この3度目で、また初回の感動を再体験することができた。
 ことに今回は、ダイジンに肩入れしちゃったなあ……。
 ダイジンとすずめとの関係性が、ほとんどそのまま、すずめと環さんとの関係性に被ってるところがミソだ。
 特典の「環さんのものがたり」を読んだら、御茶ノ水駅前で環さんがすずめ(と芹沢)に邂逅したのはけっして偶然(ご都合主義)ではなかったことがわかった。新海監督の脚本は、細部に至るまで周到に作られている。
 主演の若い2人をはじめ、声優陣はみな素晴らしいが、ことに深津絵里さんが凄い。パーキングエリアでのあのシーンは何回見ても鳥肌が立つ。あれで声優初挑戦とは信じがたい。
 興行収入も100億円突破との由。まだまだ伸びるだろう。





☆☆☆☆☆☆☆






hulu
すずめの戸締まり 本編12分映像(もちろん無料。ただしスマホで見る場合はアプリのダウンロードが必要になる)
https://www.hulu.jp/watch/100127089







☆☆☆☆☆☆☆


再掲




今ネットで(無料で)読める秀逸な『すずめの戸締まり』論まとめ




『すずめの戸締まり』に隠されたメッセージと新海作品の可能性
土居伸彰×藤田直哉 対談
2022.12.17
https://shinsho-plus.shueisha.co.jp/interview/doi_fujita/22112







 10月17日に『新海誠 国民的アニメ作家の誕生』(集英社新書)を上梓した土居氏と、10月30日に『新海誠論』(作品社)を刊行した藤田氏との対談。やみくもな礼賛に留まらず、エロティシズム、ナショナリズム、天皇(制)といった難しい問題にも抜かりなく目を配っている。今の時点で『すずめの戸締まり』について語られるべきことは、とりあえずこの中にほぼ尽くされているように思う。








 それぞれの評者による個別のレビューはこちら。



土居伸彰
返事のない場所を想像する――『すずめの戸締まり』を読み解く
『新海誠 国民的アニメ作家の誕生』特別寄稿
2022.11.15
https://shinsho-plus.shueisha.co.jp/news/21956


藤田直哉
新海誠の『すずめの戸締まり』は、何を閉じたのか?宮崎駿作品の主題、『星を追う子ども』の共通点から考える
2022.12.15
https://www.cinra.net/article/202212-suzumenotojimari_iktaycl



 ほかに、この方の批評も有益だ。

藤津亮太
考察/新海誠『すずめの戸締まり』が「震災文学」である本当の理由
2022.12.3
https://qjweb.jp/journal/78912/?mode=all


「すずめの戸締まり」新海誠監督が描く「星を追う子ども」「君の名は。」に続く“生者の旅”とは
2022.11.15
https://animeanime.jp/article/2022/11/15/73485.html






 このお三方は「すずめ」を高く評価しているが、いっぽう、「数年ぶりに物凄い怒りと共に執筆しました……」という但し書きを付して公表されたレビューがこちら。批判的意見の急先鋒といおうか。




茂木謙之介
新海誠監督『すずめの戸締まり』レビュー:「平成流」を戯画化する、あるいは〈怪異〉と犠牲のナショナリズム
2022.11.25
https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/suzume-tojimari-movie-review-2022-11











 ぼく個人は土居、藤田、藤津氏らと同じ立場であり、この茂木氏の意見には与しないけれども、『すずめの戸締まり』を観て、「なんだか引っかかる」「どこか釈然としない」(いまどきの用語でいえば「モヤモヤする」)といった感想を抱く方々の心情を精緻に言語化すればこうなるのかな……とは思う。きちんと反論を書いてみたい気もするが、いかんせん時間がない。









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