ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ゴーギャン タヒチ、楽園への旅

2018-01-24 21:33:42 | か行

画家を描いた映画、
最近多いし、おもしろいよね。


「ゴーギャン タヒチ、楽園への旅」71点★★★★


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1891年のパリ。

作品の売れないゴーギャンは貧窮し
薄汚れた都会にもうんざりしていた。

「こんな場所で創作意欲なんかわかない!南の島へ行こう!」と
マネやドガに言うけれど

航海も危険な時代。実際に行く仲間はいなかった。

そんななかゴーギャンはただ一人、妻子をおいて
楽園タヒチに旅立つ。

そこで彼が出会ったものとは――?!


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あのゴーギャンの
タヒチでの創作の日々を描いた作品です。


19世紀、薄汚れたパリで
「描きたい顔もない!」と妻子を置いて
南の島へ行く決意をするゴーギャン。

南の島に着いた次のシーンで、
さぞ、陽光溢れるパラダイスが広がっているか?
――というとそうでなく、

暗く湿った雨の小屋。

この意外性に、けっこうやられました(笑)。


彼はこの土地で
妻となるテフラに出会い、
彼女をモデルに絵を描きまくり

映画も、少し明るい兆しになりはするのですが

全体に青い空、白い砂浜!
ハッピーパラダイス!というトーンがまるでない。

どこか煙った、彩度の低い色味。

でも、その暗く哀しい話のトーンに
逆に惹きつけられました。


映画を観た後に絵画を見直してみれば、
たしかにトーンは意外と落ち着いたもので
モデルの表情もどこか哀しげだったりする(ように見える、のか?)

ストーリーは
ゴーギャン自身の紀行をもとにしているそうで、
読んでみたい!と思ったし

ゴーギャン演じるヴァンサン・カッセルが
久々に見応えのある役柄。

物質文明に背を向け
“プリミティブ”に憧れたゴーギャンの思いが
とてもよく伝わってきました。

いま、彼を含め
ポスト印象派&印象派取材を進めております。
『AERA』で2月にはお届け出来る予定。

いや~アートってやっぱ
おもしろいよね!


★1/27(土)からBunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国順次公開。

「ゴーギャン タヒチ、楽園への旅」公式サイト

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