ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

スザンヌ、16歳

2021-08-22 23:38:07 | さ行

新時代のなまいきシャルロット!

 

「スザンヌ、16歳」73点★★★★

 

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パリに暮らすスザンヌ(スザンヌ・ランドン)は16歳。

 

ちょっと大人びて、物静かな彼女は

カフェでおしゃべりする同級生たちの輪に入らず

黙ってテーブルクロスにソーダの水滴をたらしている。

 

恋に憧れているけれど

同年代の子たちは退屈なのだ。

 

そんなある日、スザンヌは街の劇場の前で

20歳ほど年の離れた舞台俳優ラファエル(アルノー・ヴァロワ)に出会う。

 

どこか通じ合うものを感じた二人は

早朝のカフェで、劇場で、少しずつお互いを知り、

惹かれ合っていくのだが――。  

 

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スザンヌ・ランドン監督が

15歳で書き上げた脚本をもとに

19歳で自ら主演し、作り上げた長編デビュー作です。

 

いつものように予備知識なく観たので

観た後に

彼女があのヴァンサン・ランドンの娘で

「君を想って海をゆく」(09年)とか「母の身終い」(12年)とか最高だす!)

お母さんは「ヴィオレット―ある作家の肖像―」(13年)とかに出てる

これまた実力派俳優のサンドリーヌ・キベルラン、だったとしって

えらく驚いた(笑)

 

超絶サラブレッドだったんですね。

 

白いシャツにジーンズのすらりとしたスタイル。

ちょっと物憂げで大人びた彼女が年上の男性に恋をする――

まさに新時代の「なまいきシャルロット」(1985年、クロード・ミレール監督)って感じですが

それをすべて

自分で作り上げたっていうのがスゴイ。

 

 

惹かれ合うようになった

スザンヌとラファエルの愛情の描写がなんとダンスだったりと

意表を突く演出もおもしろく

その先にいかない慎み深さに、余計に萌える(笑)

 

なのにけっこうエモーショナルで

ちゃんと痺れる心が描けてるし。

 

さらに驚かされたのが

思春期のスザンヌの心象描写だけでなく

スザンヌの母親や父親の目線にも

ちゃんとなれているところなんですよね。

 

シーンとしては少ないんだけど

お父さんとのちょっとしたやりとりや

自分から離れていく過程にある娘に対する母の想いなどを

実に自然に表現してて

どんだけの才能か?恐るべし、と感嘆。

 

そして

おなじみ『AERA』で

スザンヌ・ランドン監督にインタビューさせていただきました!

ちょっとはにかんだ感じは、映画のスザンヌそのままで

実にキュート!

 

両親への想いや「なまいきシャルロット」への想いなど

いろいろ語ってくれています。

 

8/31(火)発売の号に掲載予定ですので

ぜひ映画と併せてお楽しみください~

 

★8/21(土)からユーロスペースで公開。ほか全国順次公開。

「スザンヌ、16歳」公式サイト


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