ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

裸足の季節

2016-06-09 22:51:11 | は行

非常に驚き
「見事だ!」と興奮している。


映画「裸足の季節」81点★★★★


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トルコの村に住む
13歳のラーレ(キュネシ・シェンソイ)は
5人姉妹の末っ子。

姉妹は10年前に両親を亡くし、
祖母と伯父のもとで暮らしている。

美しい姉たちとともに
ラーレものびのびと青春を謳歌していた。

しかし、ある日の放課後
海で男子生徒とはしゃいでいた姉妹は
あっという間に近所の人に告げ口され、
祖母に「ふしだらな!」と折檻される。

その後、祖母は彼女たちを家に閉じ込め
一人ずつ、嫁に出すことにするが――?!


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トルコ出身、フランス在住の女性監督
デニズ・ガムゼ・エルギュヴェンのデビュー作。


みずみずしい映像、美しく愛らしい姉妹たち。

海外評で
「トルコ版『ヴァージン・スーサイズ』!」とも言われていて
たしかにそんなイメージですが

底には、終始、重い“社会の抑圧”を感じさせる。

単なるガールズムービーではない重層さがあり
「よく出来ている!」と思います。


原題は「ムスタング=野生の暴れ馬」。
なるほど、たしかに思春期真っ只中の5人娘たちは
相当なじゃじゃ馬であることは確か(苦笑)。

彼女たちのエネルギーを
なんとか間違った方向に行かせないようにする
祖母の苦労もさぞや・・・、と思う。

反面、
男子生徒とはしゃいだことで
学校へ行くことも許されず、携帯も取り上げられ
一人ずつ順番に嫁に出されていく状況には
やはり
女として違和感と反発を覚えます。

だって
どんなにはっちゃけていても
所詮、子どもである彼女たちは
親族や慣習に「こうしなさい」と言われると、
結局それに絡め取られていってしまうわけです。


一人、また一人と
自由と解放を叫んだ“少女時代”から
脱落していく姉たち。

そんな姉たちに見せる
末っ子ラーレの苛立ちや反抗が
か弱いけれど、とても強烈。

姉妹の育ての親である叔父との“問題”も含め、
あらゆる角度から
「女性の自立」を考えられると思います。

演じる姉妹全員、素晴らしいけれど
特に末っ子ラーレ役のギュネシは
カーラ・デルヴィーニュ似で、芯が強そうで、かわいい。

ラストの伏線もうまいですねえ。


★6/11(土)からシネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開。

「裸足の季節」公式サイト

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