いなくなってもその存在が
我々に、なにかをくれる。
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「“樹木希林”を生きる」72点★★★★
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2018年9月15日に亡くなった樹木希林さん。
彼女の最後の1年間に
長期密着取材することを許された
ディレクターによる貴重なドキュメンタリー。
昨年、NHKで放送され、大きな反響を得た番組を
108分に再編集したもので
未公開シーンも多く入っている。
改めて希林さんの名言、その存在感をかみしめることができて
観てよかったなと思いました。
役作りに欠かせない衣装や髪型、包丁一本、ふきん一枚にまで気を配る
撮影現場での在り方。
時に厳しく相手に接しながら、すっとフォローもする気遣い。
生きることすべてにおける
センスのよさ。
一緒に車に乗っている、監督の目線そのままの近さで
会話しているようで嬉しくなる。
いや、実際にはとてもできません。ドキドキしすぎて(笑)
そう、最初はテレビ版より
希林さんの優しさやサービス精神を感じる気がしたんだけど
次第に作り手である監督への苛立ちや、容赦ない叱責が際立ってきて
同じ取材する人間として、胸が苦しくもなるんです。
「あなたは何をしたいの」「あなたはどう思うの」・・・・・・
希林さんの問いは、監督だけでなく
あらゆる人に向けられているのだと思う。
でも、その問いを正面からぶつけられ続けた
監督のプレッシャーはハンパなかっただろうし
好機を得た幸運と引き替えに預けられた荷は、
想像を絶する重しだったはず。
ゆえに監督は映画化にあたって
希林さんの問いに困惑し、メソメソもする情けない自身を
よりさらけ出す必要にかられたのだと思う。
でも、それによって映画には
希林さんが、後に遺そうとしたものが
しっかり映る結果になった。
「あなたは、どう思うの」「どうしたいの」――
ワシも考え続けていきます。
★10/4(金)からシネスイッチ銀座ほか全国で公開。
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