「ブリキの太鼓」の監督、13年ぶりの日本公開作。
「シャトーブリアンからの手紙」68点★★★☆
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1941年、ナチ占領下のフランスで
一人のドイツ人将校が暗殺される。
怒ったヒトラーは報復として
「150人のフランス人を殺せ」と命令する。
処刑の対象になったのは
反ドイツな言動をしたとして逮捕された
シャトーブリアン刑務所にいる人々。
「それは・・・あんまりでは?」と誰もが思うなか
あれよあれよと準備は進み――?
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ナチスドイツ映画は確かにお腹いっぱいではあるんですが
これは、またちょっと違う
「いまどき」感がある。
1人のドイツ将校の死の報復に
150人のフランス人を殺せというヒトラーの無茶苦茶な命令。
しかも、たかだが映画館で反ドイツなビラを配った
17歳の少年までもが、処刑の対象にされたという
実話を基にしています。
「なんでこうなるのか、ワケがわからない」と
劇中でも誰かが言うように、
命令を受けたドイツ軍の官僚たちも
それを実行しなければならないフランスの役人たちも
誰もが「……え?」と思うのに、
しかし
誰も止めることの出来ぬまま
スルスルと悲劇へと突き進んでしまう。
何のとがもない人々が、
無意味な死を強いられ
しかし静かに気高く、誇り高く受け入れようとする様が、
静かに描かれる。
国民誰もが「なんで?」と思っているのに、
いつの間にかおかしなことが
するする進んでいるような
いまの日本の世の中に不気味にリンクしており
本気で「ゾッ」とする映画でした。
悲劇とわかっていて
見るのは辛いけどね。
ただ刺激的な映像もなく
淡々と、とにかく静かです。
知らなかったのですが
このフォルカー・シュレンドルフ監督って
映画「ハンナ・アーレント」を撮ったマルガレーテ・フォン・トロッタ監督と
1970年代に結婚し、90年くらいまで夫婦だったんですって。
それを知ると、よりへえ~~です
★10/25(土)からシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。
「シャトーブリアンからの手紙」公式サイト
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