思いがけず、クッ、泣けた。
「ラッキー」73点★★★★
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サボテンに囲まれた
アメリカ南西部の街で一人暮らす
90歳のラッキー(ハリー・ディーン・スタントン)。
毎朝、たばこを一服しつつ、体操をし、
馴染みのダイナーでコーヒーを飲む。
夜は馴染みのバーで一杯。
哲学と美学を持って
日々を黙々と、凜として生きるラッキーだが
彼はある日ふと
人生が終わりに近づいていることに気づき――。
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「パリ、テキサス」「ツイン・ピークス The Return」などに出演し
2017年に91歳で亡くなった
名優ハリー・ディーン・スタントンの
90歳にして最後の主演作。
まるで本人のドキュメンタリーのように日常が淡々と描かれ、
でもちゃんとストーリーになっているおもしろさ。
サボテンと照りつける陽射しに囲まれた
砂漠の一軒家で一人暮らす90歳のラッキー。
毎朝、たばことともに目覚め、黙々と日課をこなし、
馴染みのダイナーで店主と挨拶する。
繰り返される日々の、様式美。
90歳になってもきりりとした彼だけど
さすがに迫り来る「死」を感じ始めてもいる。
ダイナーのウエートレスに
迫り来る死に向き合う怖さを
ホロリと漏らすシーンにグッときますねえ。
人は誰も最後は一人。死と向き合い、どう受け入れるのか。
行く先は無。そのとき、どうするのか。
そんな彼は
思いがけず、ある人から大きなことを教わったりもする。
そしてラスト、思わぬ光が射す、歌のシーンに思わずウルッときた。
老カウボーイの哲学と美学。その先にみえる光。
淡々と繰り返される日常のなかに潜む真実。
これらが
ジム・ジャームッシュ好きには絶対ハマると思うので
強くおすすめしたいです。
けっこう大きく登場するデヴィッド・リンチも
いい役者っぷりでした。
★3/17(土)から新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開。
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