
このほとりのシーンの美しさは、奇跡じゃ。



「ほとりの朔子」72点★★★★




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18歳の夏、
朔子(二階堂ふみ)は伯母(鶴田真由)と
伯母の実家のある
海辺の町にやってきた。

大学受験に失敗し、人生模索中の朔子は

伯母の昔なじみの男(古館寛治)や
彼の甥っ子(大賀)と出会い、
のんびりと日々を過ごしていたが――。


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最初こそ
「ホームビデオふう?」と感じたけど、
意外なほどにうまいこといき、かなり集中した。
何と言ってもタイトルにある、ほとりの絵が見事。

ハイキーの緑に
コーラルレッドのワンピースを来た朔子の絵は
奇跡の一枚って感じ。


インドネシアふうの音楽といい、
主題を覆う薄いベールといい、
アピチャッポン監督の不思議映画
「ブンミおじさんの森」を思い出したりもして。

また
主人公・朔子が必ずしも主軸でなく、
どこか傍観者であることも特徴で

そんな彼女が経験する、一見どこにでもありそうな
「ひと夏の風景」

チクリチクリと、原発、フクシマ、イジメ、援交……と
しょっぱい現実が混ぜられていく。

福島から避難している少年が、
わけもわからぬまま原発反対集会でトークさせられるシーンが
最も象徴的。


朔子の見る世界には
世間の裏と表、社会の本音と建前が写っていて、
おそらく深田監督自身が日常で感じている違和感や、
表現したい、表裏や差異なのでしょう。

そういったものが完璧でなくても、
羅列やつぶやきの形でも、
エッセンスで、十分に伝わってきました。


★1/18(土)からシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。
「ほとりの朔子」公式サイト
確かに朔子自身の物語は希薄で、彼女のほとり(そば)の出来事や人間関係をほわ~と描く。隠されたそれぞれの
シーンの続きは想像して下さいなですね。
太賀君のうろたえるシーンは最後の叔母との会話につながっていきますね。
ただ、山内さん(歓待の御主人役)が涙を流すシーンは????でしたけど。
ついでながらですけど、本作は各地で舞台あいさつやトークショーを積極的に行っています。これこそインディーズ系のやり方で、私は拍手を送ります。
お勧め度4。 メンヘラ系の多いふみちゃんが初めて普通の役を演じました。
撮影の合間に勉強しながら
慶応に合格されたそうですね。
朔子、がんばったんだなあ!と
拍手でした。