年間映画制作数7~8本という
ブルガリア発の映画です。
「さあ帰ろう、ペダルをこいで」68点★★★☆
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両親とブルガリアからドイツに亡命した
青年アレックス(カルロ・リューベック)は、
ドイツで事故に遭い、記憶を失ってしまう。
ブルガリアに住む祖父
バイ・ダン(ミキ・マノイロヴィッチ)は、
アレックスを見舞いにやってくる。
数十年ぶりに会う孫が、事故とは関係なく
どうにも無気力さを漂わせていることを懸念したバイ・ダンは
孫を連れて自転車で、ブルガリアに帰ることにする。
そしてアレックスの
記憶と自分を取り戻す長い旅が始まった――。
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正統派といえばそうで、
しかし不思議なリズムも併せ持つ作品でした。
宣伝素材は明るい印象だけど
映画はそれほど「まっ晴れ」じゃなくて
常にどこかに哀愁を感じさせる。
アレックスの記憶の旅とともに、
観客は彼の祖父や父が苦しめられた、
共産党政権下のブルガリアを知ることになり、
物悲しさの理由は、
そのつらい歴史背景にあるのだと
見ているうちにわかってきます。
見終わった後、ブルガリアについて
ちょっと勉強したくなるかも。
そしてこの映画のみどころは
魅力的な祖父バイ・ダン。
どこか受け身で曖昧な主人公と対照的に、
彼は徹底的に「体制然」としたものに対し懐疑的で
その反骨精神がカッコイイ(笑)
孫の病院の医師にも反発しちゃうしね。
映画の重要な小道具であるバックギャモンの名人でもあり。
彼の吸引力が結局、無気力な孫をも動かしていくんですが
その原動力もまた、歴史背景に
深く根ざしていることがわかってくるわけです。
と、まあ
なかなか魅力ある映画なんですが、
回想シーンがけっこう細かく挟まって、
見ずらいほどではないけど、構成がやや単調。
記憶を無くす前の過去の回想シーンは
オレンジ色のトーンで(これがなかなか美しい)、
現在の描写はブルーと色みで分かれているんですけどね。
そういう技や、小道具に走っている感があるので
もうちょっとシンプルに
メッセージを伝えてもよいんじゃなかろうかと思いました。
★5/12(金)からシネマート新宿ほか全国順次公開
「さあ帰ろう、ペダルをこいで」公式サイト
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