ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

物語る私たち

2014-08-25 23:28:16 | ま行

このヒトは、タダモノではない。
予備知識なく見るのがオススメ!

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「物語る私たち」78点★★★★


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“アトム・エゴヤン監督の秘蔵っ子”として
「スウィート ヒア アフター」(97年)に出演し、

自らも監督として
「アウェイ・フロム・ハー/君を想う」(06年)(いい映画!
「テイク・ディス・ワルツ」(11年)(これもベスト!)で才能を発揮している

女優であり監督のサラ・ポーリーが
自身の家族について撮ったドキュメンタリー。


主軸は
女優であり、彼女が11歳のときに亡くなった
個性的な母親ダイアン・ポーリーを追うもの。

父や兄姉、周辺の人々にインタビューをしながら
“瞼の母”を追い、

さらに
「実は自分の本当の父親は、別の人かも?」という疑惑を
追いかける作りになっていて
そのドラマ加減がめちゃくちゃおもしろい。


なにより、いろいろある家族の事情を、
彼女は自分の特殊な立場=(末っ子、というのもそのひとつ)を武器に、
周囲にグイグイ語らせていく。

その容赦なき追求がすげえんです(笑)。

「ある家族の肖像」としても
十二分に見応えあると思いますが

さらに!
何も知らずに見たので
エンドロールを見たときの驚きが忘れられない。

なので、楽しみたい方は、ぜひここまで。


それ以上進みますとですね、
見ながら
「よく、こんなに過去映像が残ってるなあ」と思ってはいたんですが、

エンドクレジットに
「ダイアン・ポーリー=レベッカ・ジェンキンズ」とか
名前が出てくるんですよ。

つまり。

過去映像は巧妙なことに、
そっくり俳優たちが演じているんですよ!

もちろん本人含む、実在の父や兄姉たちも登場するし、
監督自身も女優なんで、
もう、その虚実の皮膜の淡いこと淡いこと。
つうか、わからなかった!(笑)

自分の家族の話を
より「ドラマチックに」「おもしろく」作り上げる、このクリエーター根性。

明かに
「やられた!」という感じです。

おすすめです。


★8/30(土)から渋谷・ユーロスペースほか全国順次公開。

「物語る私たち」公式サイト

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