ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

記者たち~衝撃と畏怖の真実~

2019-03-26 23:57:52 | か行

ジャーナリスト話は燃えるなあ!

 

「記者たち~衝撃と畏怖の真実~」71点★★★★

 

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2001年9月11日。

アメリカで同時多発テロが発生した。

 

ブッシュ大統領はすぐさまテロとの戦いを宣言。

 

そんななか、中堅新聞社「ナイト・リッダー」の

支局長ジョン・ウォルコット(ロブ・ライナー)は

ブッシュ大統領が、ビンラディンとは関係ないイラクも攻撃対象にしている、との情報を得る。

 

その理由は「大量破壊兵器を保有しているから」。

 

ホントに、そんなものがあるのか?なんか、おかしくないか?

そう考えたウォルコットは

二人の記者ジョナサン・ランディー(ウディ・ハレルソンン)とウォーレン・ストロベル(ジェームズ・マーズデン)に

真実を探るよう命じる。

 

だが有力紙含む大手メディアが

みな、一様にブッシュ政権の言い分を流し、イラク侵攻を肯定していた。

 

唯一「大量破壊兵器はない」と確信し、政府発表に抗う記者たちは

想像以上の苦戦を強いられることになる――。

 

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9.11後、イラク戦争に突入したアメリカで唯一、

「イラクに大量破壊兵器はない」「ブッシュ政権は戦争をしたがっているのだ」と

最初から報道していた

ナイト・リッダーの実在記者たちを描くドラマです。

 

あのときブッシュ政権は

9.11の悲劇から芽生えた米国民の「愛国心」を利用し

最初から「イラクを攻撃する」目的ありきで嘘の事実を集め、

偽の情報を流した。

 

でも、当時はニューヨークタイムズはじめ有力紙も

テレビも、メディアはみな、その情報をそのまま流したんですね。

「わかりやすい敵」を見せることで、新聞もテレビも売り上げを伸ばすから、

という理由もあったわけで

 

で、我々一般市民は

そうした報道を信じるしかないわけで。

 

そのなかで「真実」を報道しようと闘った記者たちがいた!という実話は

まさに「胸アツ」!です。

 

 

ジャーナリズムとは、報道とはこうあらねば、ということも学べるんですが

彼らを導く支局長ジョン・ウォルコット(演じるは、ロブ・ライナー監督本人!)が劇中で言う

「記者のすべきことは、事実を見極め、集めたファクトを分析し、さらに

“その先を読む”ことにある」という言葉に

ウッ、ときた。

 

そのとおり、だよね。

そしていま世界に日本に、それだけの覚悟ある人がいるのか。

てか、そもそも

そういう記者を「育て導ける」土壌がいま、どれだけあるのだろうと

我が身に手を当てつつ、考えてしまいました。

 

そして、おなじみ「AERA」で

ロブ・ライナー監督にインタビューさせていただきました!

「スタンド・バイ・ミー」な監督が、昨今めっきり社会派に転じた理由、そして

 

構想15年の本作は

まさに、彼自身が劇中で演じる

実在の支局長そのものの「記者魂」から生まれたのだ――とヒシヒシ感じました。

 

発売は来週4/1発売号、AERAdotにも順次、アップされると思います!

映画と併せて、ぜひご一読くださいませ~

 

★3/29(金)からTOHOシネマズシャンテほか全国で公開。

「記者たち~衝撃と畏怖の真実~」公式サイト

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いいですね (ippei)
2019-03-30 15:26:43
おっしゃる通り、ジャーナリストものは燃えますよね。
燃えます! (ぽつお番長)
2019-04-03 00:36:02
記者たちも、もちろんですが
その「燃え」を絶やさずに
15年越しで映画にするって
ホントすごいことだなあと思います。

自分はどうなんだろう~って(苦笑)

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