冒頭、座り込みをはじめる15歳の背中の
あまりの小ささに、衝撃を受けた。
「グレタ ひとりぼっちの挑戦」74点★★★★
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ちなみに最初の宣伝ビジュアルのほうが好きなので、そちらを使用いたしましたw
18歳にしてノーベル平和賞候補になること3回。
世界で最も有名な環境活動家となった
スウェーデン出身、グレタ・トゥーンベリさんの
ドキュメンタリーです。
もちろん彼女のことは応援していて
2018年のCOP24でのスピーチ、2019年の国連気候行動サミットのスピーチにも
スガン!ときた向きですが
この映画は
2018年の夏、15歳の彼女の最初の座り込みストライキからを追っていて
なかなか貴重。
知らなかった彼女の素顔を知ることができて
とてもおもしろく、大事だなと感じました。
応援しているワシでも
最近の彼女の言動が、よりキツくなっていると感じていて
拒絶する人もいるだろな、心配していたのですが
この映画には、本当に彼女の思いがシンプルに詰まっているので
あらゆる人にみてほしい。
なによりも
冒頭、おずおずとプラカードを持って座り込みをはじめる
その背中のあまりの小ささに
衝撃を受けたんですよ。
本当に、こんな少女にいま我々は
どれだけの責任を背負わせてしまっているのか――と
胸に突き刺さります。
そして、たった一人でストックホルムの国会議事堂前に座る彼女の前を
多くの人が通り過ぎていく。
しばらくして
「一緒に座ってもいい?」という最初の一人が現れたとき
開始数分にして、涙腺がグッときてしまいました(笑)
いや、ここからの彼女の軌跡、ここからの出来事が
どれだけドラマチックか!って話なんだけど
一人の少女が、勇気をもってその一歩を踏み出し、
それが誰かに伝わり、つながっていく。
その瞬間が、ここに捉えられているんですよ(う。泣ける)
同時にカメラは彼女の家族や、自宅で愛犬と過ごす様子など
彼女の素顔を映し出していく。
アスペルガー症候群の症状があり
本来は人と話すのが苦手なこと、
動物好きな彼女が、気候変動にショックを受けたきっかけ(うっ、わかるよ、わかる・・・)
そこから
興味を持ったことには驚異的な記憶力を発揮し、知識を吸収したのだそうで
なるほど!納得。
気候変動に関するあらゆるデータを頭に入れ
どんな質問にも答えられるがゆえに
あの核心をつき、堂々と明快なスピーチができるんだな、と。
抜群の強みだなあと、思うのでした。
そして同年、COP24に招かれ、堂々かつ率直な言葉で注目を集め
彼女に賛同した若者たちが、各国でデモを行っていく。
(会議の前、着る服に少々悩む様子まで写ってる。笑)
エリゼ宮でマクロン大統領と対面し、
各国に招かれ重鎮と会い、どんどん注目されていく――んですが
しかしどれだけみなに賞賛されても
彼女にとっても、そして地球にとっても意味はないんですよね。
「賛同するなら、何とかしなさいよ!」と
観ていて、彼女のいら立ちもよくわかる。
さらにSNSで批判にさらされ、誹謗中傷され、殺人予告まで受けて
ヒヤヒヤする。
「そこまでがんばらないでも・・・」と声をかけたくなるんだけど
でも、そうじゃないのだ。
その姿に、動かないといけないのは誰だ。
「このままでは自然の反撃はくる。それは病気かもしれない」と最初から言ってた彼女の
まさに、コロナ禍こそがその警告の一端でしかないわけだし。
彼女が動かした人は多い。
しかしまだまだ入り口にも立っていない、という思いが
映画からも、最近の彼女のスピーチからも感じられるのです。
もどかしさはよくわかるけど、ちょっと心配――と思いながら
来週発売の「AERA」で
ネイサン・グロスマン監督(30)にインタビューさせていただきました。
彼女を撮り始めたきっかけ、その渦中にいた経験、そして
最近の彼女に対する筆者の印象にも
答えてくださっています。
映画と併せて、ぜひご一読ください!
こっちが最新の宣伝ビジュアルです。
★10/22(金)から新宿ピカデリーほか全国順次公開。