ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

女は二度決断する

2018-04-11 23:29:19 | あ行

 

ファティ・アキン監督が

攻めてきた。

 

「女は二度決断する」72点★★★★

 

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ドイツ、ハンブルグに暮らす

生粋ドイツ人のカティヤ(ダイアン・クルーガー)は

トルコ系移民の夫と、6歳の息子と暮らしている。

 

かつて麻薬売買で捕まったこともある夫だが

いまはまっとうに働いている。

 

その日も、カティヤは息子を夫の事務所に預け、友人と出かけた。

 

だが夕方帰ってくると、事務所の前の道路が封鎖されている。

そしてカティヤは、夫の事務所の目の前で

爆破テロが起こったことを知る――。

 

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ドイツ・ハンブルグで、トルコ移民の両親のもとで生まれ、

「ソウル・キッチン」(09年)などユーモラスな作品や

「そして、私たちは愛に帰る」(07年)「消えた声が、その名を呼ぶ」(14年)などハードめの作品などを発表する

ファティ・アキン監督。

 

どんなタッチにあっても

常にルーツや、民族の問題にその根っこがあることがよくわかり

すごく好きな監督なのですが

今回は、より“攻めてきた”感じがありました。

 

 

突然、愛する家族を奪われた主人公カティヤ(ダイアン・クルーガー)。

被害者である彼女に、警察がまず聞くのは

夫がイスラム信者だったか、クルド人か、政治活動をしていたか?

それゆえに、狙われたんじゃないか?といったことで

 

彼女は、想像できない悲しみのなかで

そうした試練を受けなければならない。

 

でも結局、テロを起こしたのは

ネオナチの夫婦だったことがわかる。

 

そしてカティヤは“弔い合戦”のごとく

自分なりの落とし前をつけようと行動する――というのが映画の大筋。

 

 

彼女の行為には賛否両論があると聞きましたが

いやいや、疑問の余地なく、まったくありでしょ(笑)

 

敵討ち的な思想では負の連鎖を止められない、との非難もあるのは承知だけど

ワシは、これはありだと思う。ワシも同じことをすると思う。

 

なにより

卑劣なテロの犠牲者が後を絶たない現在、

カティヤと同じ苦しみを抱える遺族が山ほどいるのだと、

この映画は痛烈に教えてくれました。

 

★4/14(土)からヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国で公開。

「女は二度決断する」公式サイト

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