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ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

フレンチアルプスで起きたこと

2015-07-02 20:40:59 | は行

いいねえ!大好き。こういう映画(笑)


「フレンチアルプスで起きたこと」80点★★★★


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フレンチアルプスの高級リゾートにやってきた
スウェーデン人一家。

スマートなパパ(ヨハネス・バー・クンケ)
美人のママ(リサ・ロブン・コングスリ)
愛らしい娘と息子たちは、
楽しいバカンスを過ごしている。

しかし2日目。

一家は、思いがけない出来事に遭遇し――?


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第67回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門、審査員賞受賞作。

もうね、大好きですよ。

こういう
日常のなんでもないことから
「え……?」という事態をリアルに取り出した
シュールでいじわるで、シニカルな映画(笑)

事件は小さいけど、いや~意地悪いわあ(笑)


スマートなパパと美人ママ、カワイイ娘と息子という
L.L.Beanのカタログのような4人家族が
スキーリゾートにバカンスにやってくる。

冒頭の
「写真、撮りますよ~」のシーンから
どこかヘンで引っかかるやりとりがあり、
いったい何が起きるのか……?とウヒヒ。

黒ディズニーを描いた「エスケイプ・フロム・トゥモロー」的でもあり、
しかも事件の起こりやすい雪山ですからねえ!(笑)


実際に何が起こるかというと
まあ、ちょっとした雪崩なんですが
そこで夫がとったある行動から、
家族に、亀裂がピシピシと入っていく。


全編を覆う、静かでいや~な不吉さがたまらないんですわ。
なんでもない風景を
いや~な感じに仕立てる演出も悪いわあ。うまいわあ(苦笑)


細かい人間観察と描写で、
こういう「あるある」なスペクタクルを作りあげる人を
尊敬してしまいます。


結局これは
ステキ家族であることを演じたり、良き夫・良き妻を演じたり、
取り繕ってる人間の表層や外聞を、いかに上手にひっぺがすか、という
おもしろさなんでしょうね。

そしてそれは
ステキを見せている側、見せられている側の
嫉妬心や、優越感の逆転の快感でもある。

この監督、
夫婦間の小さな不満を
細かいシーンで描いたりするのもうまくて
便座の上げ下げのところとか、笑っちゃいました。

と、
ワシはいじわるに楽しんでましたが

おなじみ週刊朝日「ツウの一見」で
男性学研究者で武蔵大学助教授の
田中俊之さんにお話を伺ったところ

ワシが考えてもいなかった視点をいただき
実におもしろかったです。

それはズバリ
「男の生きづらさ」。

来週7/14発売なので、ぜひ読んでみてください!


★7/4(土)からヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で公開。

「フレンチアルプスで起きたこと」公式サイト
コメント (3)
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