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ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ドキュメンタリー映画 100万回生きたねこ

2012-12-04 23:49:20 | た行

この大ベストセラー絵本、子ども時代には
知らなかったんですよねー。

いや、もちろん生まれてましたけど。


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「ドキュメンタリー映画 100万回生きたねこ」58点★★★

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絵本『100万回生きたねこ』で知られる
絵本作家でエッセイストの佐野洋子さん。

佐野さんが2010年に72歳で亡くなるまでの1年を
77年生まれの監督が撮影したドキュメンタリー・・・

なんですが、
普通のドキュメンタリーを想像してると
だいぶ面食らうと思います。

まず
本人への取材部分は意外に少なく
しかも顔出しなしの声のみのインタビュー。

その合間に
『100万回生きたねこ』の読者である女性たちの朗読と
インタビューが挟まる、という仕様なんですね。

なので
見ながらなんとなく
『AERA』っぽいな、と思ってしまった(笑)

この“女性たちへのインタビュー”が
そう感じさせたんでしょうねえ。

最初、子を持つ若い母親が登場し、
続いてリストカットする女性や、買い物依存性の女性などが
この絵本と自分との関わりを語っていくんですが

なんだか“現代を生きづらい女性”のショーケースのようで
そういうテーマ前提なんだ、と思わせるような。
かつ、一人一人にそこまで深く踏み込むわけでもなく。


しかし、
この女性たちを入れた意味は

映画の途中で、佐野洋子さんが亡くなり
彼女の書いたエッセイをもとに

幼いころから彼女につきまとっていた「死の陰」などが
朗読されることで
ようやくハッキリと明らかになってくるんですね。


ガンを患ってるのに煙草スパスパで(笑)
ざっくばらんに話すその人となりが
垣間見られるのは確かだし

お兄さんがいた話とか、
いろいろ「へえ」もあります。

佐野さん亡き後の、軽井沢の別荘の映像とか
すごくいい。シンとして、寂しそうで。

そんなふうで
狙いは悪くないんですが
たぶん題材が大きすぎたのかなと感じます。

佐野洋子さん、の大きさだけでなく
各々の女性たちの問題も含めて。

しかし『100万回生きたねこ』は
何度読んでもグッときますねえ。

1977年の発表から
180万部!の大ベストセラーなんだそうで。

でも、子ども時代に読んだら
きっと悲しくてダメだったろうな。


★12/8(土)からシアター・イメージフォーラムで公開。ほか全国順次公開。

「ドキュメンタリー映画 100万回生きたねこ」公式サイト
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