ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

白夜行

2011-01-26 21:17:24 | は行
ドラマ化もされているのに
今まで話を知らなかったのが
幸運だったかな。

「白夜行」73点★★★☆


昭和55年(1980年)。
廃ビルで質屋店主が殺害された。

容疑者の女が死に
事件は決着したかに見えたが


刑事・笹垣(船越英一郎)は
妙に落ち着きのある
被害者の10歳の息子

これまた妙に大人びた
容疑者の10歳の娘
気にかかってしかたない。


そして数年後。

成長した少年と少女
亮司(高良健吾)と雪穂(堀北真希)の周囲で
静かにひそやかに
事件が起き始めていた……。



冒頭
サスペンスの帝王・船越英一郎が
出てきた瞬間、
「え?」と戸惑いましたが

ミステリとして
糸がほぐれるまで
ちゃんと惹きつけてくれる作品でした。


まあ謎解きは
むしろ問題ではなく

観客に不快感の汚泥を
もがき泳いでもらうほうが
目的かもしれません。


それほど
いや~な話なのに
目をそらすことができない
妙な引力があるんですよねえ。


例えが悪くて申し訳ないのですが

我慢できず
汚い公衆トイレに入ったら

壁面にイヤな虫がいて

でも
いまさら動くこともできずに
仰視するしかない……
そんな感じ?


純白っぽい堀北&若手の高良コンビで
ここまで仕立てたのは
なかなかだと思います。


特に
登場シーンはさほどでもないのに
高良健吾がすごい存在感。

私としては
「告白」よりは断然
こちらを推したいところです。


「悪人」と比べると……どうだろう。

あそこにあった
魚や田舎の生々しい空気や匂いとはまた別な
うそっぽい、無機的な匂いゆえの
不快感というか。


まあどれも
暗くて多少
「いや~な」気分になるのは
似たようなものですけどね。


★1/29から新宿ピカデリーほか全国で公開。

「白夜行」公式サイト
コメント (2)
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