プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

施政方針演説 米国と「海外で戦争する国」になることこそ時代遅れ

2007-01-27 19:10:10 | 政治経済
改憲を目指す「美しい国」の外交・安全保障分野の柱を「主張する外交」と特徴づけた首相が、真っ先に強調したのは「『世界とアジアのための日米同盟』は、わが国外交の要」ということであった。日米軍事同盟を地球規模に拡大し、日米両軍がともに血を流す協力関係にする―これが安倍首相の「日本を21世紀の国際社会において新たな模範となる国にしたい」ことなのだ。

首相が付き従うブッシュの先制攻撃戦略は、いまイラクで泥沼状態に陥っている。しかし、アメリカはその政治経済の構造上、戦争をやめられない。田中宇さんがいうソフトランディングになるかハードランディングになるかはわからないが、アメリカの単独覇権主義は、早晩行き詰ることが確実である。安倍首相のように、日本が盲目的にアメリカに付き従うことは、米国の軍産複合体の利益を支え、単独覇権主義の延命に手をかすことを意味する。それは世界の圧倒的多数の人々を敵にまわすことであり、日本がアメリカとともに没落する道である。

冷戦後、米国の軍産複合体は彼らの利益を確保するために必死で「敵」を探した。そして「テロ」を戦争で殲滅するというアメリカ独自の発想を編み出した。
軍産複合体にとって平和は、なんの利益にもならない。戦争こそ良きビジネス・チャンスなのだ。軍産複合体に依存するアメリカの政治経済構造の影響力を削ぐ方向にアメリカ国民も含めて世界が動くのでなければ、アメリカは戦争をやり続け、他国に干渉し、武器を輸出し続け、そのなかで一般市民が犠牲となり続ける。その意味でイスラム過激派の「ジハード」攻撃は軍産複合体の主張にとっては追い風そのものであり、イスラム過激派もアメリカの兵士もこのからくりを十分に理解しなければならない。
日本が防衛力を増強し、アメリカから先進的武器を輸入し、ミサイル防衛構想に共同参加することは、軍産複合体に莫大な経済的利益をもたらす。自衛隊が直接手を出してなくても、日本は米国の軍産複合体を励ますことで、イラク民衆の殺戮を助けているのだ(航空自衛隊は米軍に物資を運ぶことでほとんど直接手を貸している)。

米国の軍産複合体の影響力を削ぐ一番確かな道は、世界が日本国憲法9条の理念に立脚し、米国の単独覇権主義を孤立化させることである。われわれは、せっかく歴史に先駆けた立派な憲法をもちながら、戦後世界の政治力学のなかで、アメリカに占領され、9条を全面開花させることができなかった。いま日本国民に求められていることは、憲法9条を高く掲げ、平和を望む世界の圧倒的多数の人々の先頭に立つことである。「憲法9条は今こそ旬」(小田実さん)なのだ。 アメリカの軍産複合体の影響力を削ぎ、できれば米国覇権主義をソフトランディングで安楽死させるのが世界史の発展方向であるとき、憲法を改正して軍産複合体の延命に手を貸すことほど反人民的で、時代遅れなことはない。安倍首相には、国民も世界もまったく見えていない。

最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
やっぱり変だ (鶴田ふぁん)
2007-01-27 21:00:37
海外で戦争出来なくても、国内ならしてもいいわけ?

相手国に攻める気なくすぐらいの力を持ったほうがいいと思う
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。