プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

2007年世界社会フォーラム なぜか一般マスコミはほとんど報道しない

2007-01-24 20:23:21 | 政治経済
世界社会フォーラム(WSF)は、2001年から毎年、スイスのダボスで行われる「世界経済フォーラム」に対抗して開かれている会議である「世界経済フォーラム」は、極めて高額な会費を徴収するNPOであり、その会費を支弁できる一部の財界人や、彼らに招致された各国指導者などのエリート層のみが参加を許される。ノーム・チョムスキーの言葉を借りれば、「この世のご主人様たちの集まり」である。これに対抗して、社会的な問題意識を持った者であれば誰でも参加できるものとして始まったのが、WSFである。
これまで06年の三カ国[バマコ(マリ)、カラカス(ベネズエラ)、カラチ(パキスタン)]のほか、ブラジルのポルトアレグレ(01、02、03、05年)、インドのムンバイ(04年)で開催された。NGOのみの運動から、近年は、ブラジルやベネズエラの大統領など各国の首脳や閣僚、国連や世界銀行など国際機関の代表が出席しており、さまざまな社会問題を包括的に扱う、極めて重要な会議に発展している。昨年は、より多くの人が参加しやすい形にするため、南米のベネズエラ、南アジアのパキスタン、西アフリカのマリの三カ所で分散開催されが、アフリカ単独で開催されるのは今回が初めて。アフリカで特に深刻な問題となっている貧困、地域紛争、エイズ、債務問題などの討議が今回の重要テーマである。

20日はナイロビ中心部にあるウフル公園で開会式典を催し、約八十万人の貧しいケニア人が生活するアフリカ最大のスラム街キベラからデモ行進することでフォーラムは幕を開けた。開会式ではカウンダ元ザンビア大統領があいさつ。今回のフォーラムはアフリカが貧困、飢餓、搾取とたたかう上で極めて重要な機会だとし、「宗教などの違いを超えて、悪や間違いに対して共同してたたかおう」と呼びかけ、大きな拍手を受けた。開会式は、初めてのアフリカ単独開催となったことを反映し、歌、音楽や踊りに満ちたアフリカらしい式典となった。「貧困だけではない、本来アフリカはすばらしいものを持っている」。カウンダ元ザンビア大統領が式典で訴えると、「おおー」と呼応する声が会場全体を揺るがした。貧困やエイズだけではない、文化や伝統など世界に自信をもって伝えることができるものをアフリカはもっている、「アフリカの今を世界に発信したい」という多くの人々の思いが伝わってきた(「しんぶん赤旗」2007年1月22日)。

世界社会フォーラム二日目の21日、債務問題に焦点を当てる複数の分科会が開催された。分科会にはそれぞれ約五十人が参加し、債務帳消しを求める声とともに、債務返済のために政策を押し付ける世界銀行など国際機関への批判が続出した。ケニアの男性は、累積する債務が同国の財政を圧迫し、「教育費など人々が本当に必要なものへの資金の拠出を妨げている」と警告。マリの男性は、債務返済のため財政引き締めを押し付ける世界銀行の構造調整政策が「社会福祉や教育制度を破壊している」と発言。ベナンの女性も、「構造調整政策によって、アフリカ諸国の経済政策はどこも同じだ。生活が破壊され、貧困が固定化されている」と語った(「しんぶん赤旗」2007年1月23日)。

22日には、憲法九条に関する分科会が開かれ、日本だけでなく世界の平和にとっても戦争と軍隊を放棄する九条が有効だとの考えを参加者が共有する機会になった。また、九条を初めて知ったアフリカの人からも地域での安全保障の力として強い関心が寄せた。分科会では、まず、大阪中央法律事務所の梅田章二弁護士が、平和憲法下、本来軍隊を持たないはずの日本が、イラクに自衛隊を派兵するまでに至りながら、九条があるために他国の国民を殺してはいないことを指摘。「安定と平和のために九条はかかせない」として、これを世界に広げるよう呼びかけた。会場からは、フィリピンや中国などアジア諸国とともに、アフリカの出席者からも、「九条を自国でどうやって広げていくのか」などについて質問が相次いだ。ケニアに住むカトリック修道女のサロメ・ムウェンガさんは、九条の平和思想を「それぞれの国に応じた形で草の根から広げることが大事だ」と訴えた(「しんぶん赤旗」2007年1月24日)。

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