プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

米中間選挙後の今後の展開と日本が鍛えなければならない外交力

2006-11-14 18:56:14 | 政治経済
事前の予想通り、ブッシュ政権のイラク戦争・占領政策への国民の審判として注目された米中間選挙は7日に投開票され、与党・共和党が大敗し、野党・民主党が12年ぶりに上・下院で過半数を制することになった。中間選挙での敗北は、ブッシュ政権を支えてきたネオコンや宗教右翼をはじめ、共和党内のさまざまな勢力の力関係にも大きな変動をもたらすものとなりそうである。ブッシュ大統領は投票日翌日の11月8日、ラムズフェルド国防長官を更迭、後任に元CIA長官のロバート・ゲイツを指名した。米政府は今後、イラクからの早期撤退を目指しながら、イラクの安定化のために、イランやシリアと話し合う方向に動く可能性がある。軍事優先を当然の前提として対米従属強化路線だけを突っ走る自民党政府の外交力が厳しく問われる局面が進展し始めた。 . . . 本文を読む

労働法制規制緩和の総仕上げ 3つの「やりたい放題」が正規社員を襲う

2006-11-13 20:36:09 | 政治経済
労働契約法とホワイトカラー・エグゼンプションの導入を主な内容とする労働基準法改悪の動きが加速している。企業横断的産業別労働組合による労働協約がない日本で、企業別労働組合の力関係からいって労働基準法は、すべての労働者にとっての最後の砦である。一連の労働法制の規制緩和による非正規労働者の導入によって不安定で安い労働力利用が可能となった資本にとって残るは、従来からの正社員の処遇である。彼らを辞めさせるか、その労働条件を不利益に変更したいが裁判にならない道はないか、現在各地で問題となっている不払い残業代の追加払いを一気にゼロにする道はないか、資本の3つの「やりたい放題」を実現する検討が厚労省の労働政策審議会労働条件分科会で現在、急ピッチで進んでいる。 . . . 本文を読む

なぜ急ぐ教基法改悪 来年の選挙への影響を恐れる公明党 議論すればボロがでるばかり

2006-11-12 20:21:22 | 政治経済
教基法改悪について自民・公明の与党が今週16日にも衆院通過を狙う緊迫した情勢が続いている。「やらせ質問」、未履修問題など政府・文科省自身の規範意識・法案提出者としての資格が問われるなか、地方紙・議会・教育関係者から「改悪反対」「拙速やめよ」の声が噴出している。それにもかかわらず、なぜ与党は法案成立を急ぐのか。議論をすればするほど、与党が「改正理由」としてあげることと現行教育基本法とは何の関係もなく、3年間密室協議を続けてきた改悪法案の狙いが白日の下に晒されてしまうからである。来年の選挙を控えて与党、とりわけ公明党は今国会でなんとしても決着をつけたいのだ。 . . . 本文を読む

偽装請負 指導が強化されても救われない労働者 根源に大資本の搾取の自由化を容認する政治

2006-11-11 18:43:50 | 政治経済
キヤノン、東芝、日立、松下プラズマディスプレイ、トヨタ関連企業の光洋シーリングテクノ―。日本を代表する大企業の工場で、違法な「偽装請負」が労働者の勇気ある告発で発覚し、社会的な大問題になっている。これまで「偽装請負」を取り締まる姿勢をとってこなかった厚生労働省も動きだし、労働基準局と職業安定局は9月4日、都道府県の労働局長あてに、製造業を中心とした「偽装請負」の防止・解消を図るため、監督・指導の強化を指示する通達を出した。ところが、ここにきて労働者を違法派遣し、マスコミで問題になった派遣(請負)会社を受け入れ大企業が調達先企業から外しはじめた。こうして派遣(請負)会社所属の労働者が路頭に迷う事態が起こりはじめている。 . . . 本文を読む

NHK放送命令 NHKが謀略放送に加担 安倍内閣の本姓が見えた

2006-11-10 20:54:23 | 政治経済
菅義偉総務相は10日午前、NHKの橋本会長を総務省に呼び、短波ラジオ国際放送で拉致問題を重点的に放送するよう命令した。国家が他国に介入するときよく使われるのが謀略放送である。アメリカのVOA(Voice of America.アメリカの声)放送が有名である。現在、民間団体である特定失踪者問題調査会が北朝鮮向けにこの謀略放送をまねたのか「しおかぜ」短波放送を行っている。安倍首相と管総務相はともにNHK「慰安婦」番組介入問題で有名になった「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」のメンバーである。放送への介入がお手の物だといっても、拉致問題がいかに安倍氏の“売り”だからといって「しおかぜ」の役割を国民の税金を使った公共放送のNHKに肩代わりさせるとは!! 安部氏の本姓が見えてきた。 . . . 本文を読む

「防衛省」法案審議入り 日本防衛のための自衛隊がいつの間にか海外展開が本来任務に

2006-11-09 20:17:41 | 政治経済
海外派兵を自衛隊の「本来任務」にし、防衛庁を「省」にする「防衛省」法案が9日、衆院安全保障委員会で審議入りした。ただ、民主、社民両党はこれまでの防衛施設庁談合事件の集中審議で要求した資料などに関し「納得できない」などとして欠席した。 防衛庁の省への『昇格』は、自衛隊法の改定案とセットになっている通り、防衛庁から防衛省へ単なる名称変更することではない。自衛隊を“日本防衛のための組織”から“海外派兵型軍隊”に根本的に転換することにあわせ、自衛隊の海外での活動をより円滑、強力にやれるようにする狙いで省格上げ法案をセットにして提案しているのである。明らかに憲法9条改定を先取りしたものである。 . . . 本文を読む

政府税制調査会新体制スタート ますます最大の既得権益「財界」と直結

2006-11-08 19:11:43 | 政治経済
政府税制調査会(首相の諮問機関、会長・本間正明大阪大学教授)は7日総会を開き、2007年度税制「改正」に向けた議論を開始した。 小泉内閣の下で従来の利益誘導型自民党政治の構造が破壊され、財界の意思が国家の政策に直接反映するような意思決定メカニズムがつくられた。各派閥の自民党議員が地元住民の要望や意思をくみ上げて官僚とともに政策立案する仕組みを“抵抗勢力をぶっつぶす”というスローガンに仕立てて断ち切って、「経済財政諮問会議」を財界の意思を直接政策に反映する政策決定の司令部とした。その小泉首相でさえ、経済財政諮問会議で法人税減税の議論を進めたとき、「ここだけで決めてはだめだ。政府税調、党税調がある」と窘めた。 ところが、本間新会長は露骨である。「経済(=政治の意味)と税制は切り離せない。政権の方針や経済財政諮問会議との連携が必要」と、建前上、特定の階級の利益を代表する政治とは独立して税制のあり方を論議するという従来の政府税調路線と一線を画し、その建前も投げ捨てることを表明した。 . . . 本文を読む

米中間選挙7日投票  またしても流れる不正選挙のうわさ

2006-11-07 18:24:31 | 政治経済
11月7日にアメリカで行われる中間選挙は、全米50州のうち最大10州で、投票後の集計時に混乱や不正疑惑が起こりそうだという予測が、欧米のマスコミで指摘されている(田中宇の国際ニュース解説 2006年11月3日)。アメリカの「自由と民主主義」とはその程度のものなのだ。 . . . 本文を読む

新教育基本法 政府与党週末衆院通過狙う 改悪阻止の国民世論を国会へ

2006-11-06 19:16:46 | 政治経済
安倍内閣が「最重要法案」と位置づける教育基本法改悪法案(新教育基本法案)をめぐって、政府・与党が今週末にも改悪法案の衆院での通過を狙う緊迫した局面を迎えている。今国会の会期(12月15日)と、参院審議の時間を考えて、政府・与党は「地方公聴会が終われば採決の環境は整う」(自民党理事)として10日の衆院通過を狙っている。いまでも教育現場が無茶苦茶となっているのに、無理やり国家のタガを強化し国策に従う人間づくりを強行すれば問題は拡大するばかりである。「教育改革タウンミーティング」で「やらせ質問」を参加者に依頼していたことは法案提出者の資格にかかわる重大問題である。「今国会にこだわらず、議論を続けるべきだ」という国民の圧倒的声を国会に結集するときである。 . . . 本文を読む

横田空域の一部返還 日本の空を支配する米・軍事空域 「美しい国」をいう前に主権の回復を

2006-11-05 18:10:59 | 政治経済
10月27日、日米両政府は米軍横田基地(東京都福生市など)の管制空域の一部を日本側に返還することで合意した。今回合意したのは、羽田空港の管制空域の西側に隣接する空域の南半分の約40%。しかし、その他の横田空域は厚い壁としてそのまま立ちはだかり、首都圏の西側上空の「米軍支配」が続く。戦後60年が過ぎてなお、米軍が首都を含む日本の空を支配し、日本の民間機が「見えない米軍基地(軍事空域)」を避けて飛ばなければならない状態はとても主権国家とは言えない。安倍首相は「美しい国」を言うのなら、まず「米軍事空域」の管制権の返還を米側に要求して空の主権を回復することだ。 . . . 本文を読む

アジアで存在感を高める中国の善隣友好外交

2006-11-04 21:01:43 | 政治経済
中国が自国の長期・安定的な経済発展のためには、国際情勢とりわけ近隣諸国との平和安定が重要という基本戦略のもとで、積極的な善隣友好外交を推進している。中国の南寧で10月30日に開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国の関係15周年を記念する首脳会議でも、ASEANと中国の良好な関係が「それぞれの発展を大きく促進し、具体的利益をもたらしたのみならず、地域と世界の平和、安定、繁栄にきわめて重要な貢献をした」ことを相互に再確認、日本とは一味も二味もちがった、アジアや世界での中国の存在感を見せつけた。 . . . 本文を読む

憲法公布60年 輝き増す第9条の先進性 時代遅れの改憲論

2006-11-03 20:31:22 | 政治経済
日本国憲法が公布(1946年11月3日)されて今日で60年である。それまでの人類の価値ある遺産をすべて引継ぎ、一歩先んじた先進性は人類史の大道を歩むものであり、21世紀においてますます輝きを増している。それを安倍首相のように時代に合わぬなどと歴史の大きな流れの中から切り取って、邪魔だから変えてしまえなどというのは、人類史に対する反乱である(井上ひさし「日本国憲法は人類の目標」しんぶん赤旗2006年11月2日)。 . . . 本文を読む

競争と統制で学校現場のいっそうの荒廃をもたらす教育基本法の改悪強行は許されない

2006-11-02 20:40:31 | 政治経済
教育基本法の「改正」(実態は「改正」でなく旧法とまったく性格のことなる新基本法の制定なので以下新教育基本法という)が国会で政府・自公与党によって強行されようとしている。新自由主義的構造改革の進行よる社会統合の亀裂が教育や子どもに顕在化し、いじめ自殺や子どもの犯罪など教育現場の荒れの問題が覆い隠しようがないくらい顕わになっている。こうした現状をなんとかしたいという国民の声は当然である。しかし、私たちはいまの教育や子どもたちが抱える困難は新教育基本法の方向では解決しないばかりか、ますます悪くなることをしっかりと見る必要がある。 . . . 本文を読む

6カ国協議再開 改めて示す世界における米国の“役割”

2006-11-01 18:26:02 | 政治経済
北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議が近く再開される見通しとなった。北朝鮮が6か国協議への復帰を表明した31日の米国、中国、北朝鮮の非公式会合を、ホワイトハウスが中国の極秘提案を受けてから3日間熟慮した末に受諾したからである(読売新聞 - 11月1日14時20分更新)。このことは、残念ながら国際連合に世界政府としての権威が与えられていないもとでは世界が良い方向に向かうか悪い方向に向かうかは、世界最大のならず者、アメリカがその気になるかならないかで大きく左右されることを示している。今回の事態は、中間選挙を控え、米ブッシュ政権が、緊張激化や軍事的対応を排除して平和的・外交的解決で朝鮮半島の非核化をめざす内外の一致した世論に押される形で対話路線をとりあえず選択することで実現した。 . . . 本文を読む