プロメテウスの政治経済コラム

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横田空域の一部返還 日本の空を支配する米・軍事空域 「美しい国」をいう前に主権の回復を

2006-11-05 18:10:59 | 政治経済
米軍が治外法権的に航空管制する空域ラプコンRAPCON:Radar approach controlがいまだに東京と沖縄、岩国の上空に存在する。他の国では、米軍機が飛ぶ場合でも航空管制は当該国の主権のもとに共同で行うのが普通である。米軍機が日本の空をわが物顔に飛び、空の安全を脅かしている状態が続くのは歴代自民党政権に、もともと主権を回復しようという気がないからである。これだけで、日本は世界から一人前とはみなされない。北朝鮮から6カ国協議に出てこなくてもよいなどとバカにされるのだ。

今回の横田空域の一部返還で、羽田から中国、北部九州、関西などに向かう一定の出発便はかなり楽になることは確かである。しかし、南部九州や沖縄方面への出発便は、横田空域を迂回する現状は変わらない。到着機は横田空域の迂回を強いられ不自然な飛行経路の危険は依然そのままである。羽田空港は、2009年12月から四本目の滑走路の供用を開始し、民間機の離着陸回数が年間29万回から40万7千回に激増する。横田空域の全面返還が当然の措置でなければならない(「しんぶん赤旗」2006年11月5日)。
しかし、米政府に横田空域の全面返還の気はない。横田空域には米軍横田基地や厚木基地があり、横田基地を拠点に戦略輸送にあたる米軍輸送機や厚木基地を足場に低空飛行をくりかえす米空母艦載機のために広大な空域を占拠し続けたいからである。日本政府は、全面返還交渉どころか、米軍再編の巨額経費の負担を約束して一部の返還ですます態度に終始している。ひたすら米政府に懇請する日本政府の卑屈な態度は、対米追随姿勢の異常さを示すものでしかない(「しんぶん赤旗」同上)。

沖縄の嘉手納ラプコンでは、嘉手納基地を中心に半径約九十キロで高度六千メートル以下、および久米島空港を中心に半径約五十六キロで高度千五百メートル以下の空域を、嘉手納の米軍が航空官制権を一手に握っている。嘉手納と普天間基地の米軍機を優先するため、那覇空港に発着する民間機は危険な飛行を強いられている。
岩国ラプコンでは、岩国基地の上空から日本海、四国周辺までをおおう空域が米軍の管制空域となっている。松山空港を離着陸する民間機はすべて米軍岩国基地の許可が必要。周辺空域は東京や大阪から九州、四国方面への民間航空路で、中国などへ向かう国際線をふくめ「日に数百便が飛行する幹線航空路」となっている。岩国基地は米軍再編で厚木の艦載機が移転する予定で、移転すれば沖縄県の嘉手納空軍基地を上回る世界有数の戦闘機基地となる。ただでさえ狭い中国・四国地方の民間航空路を圧迫することが目にみえている。事故が起きてからでは遅いのだ(「しんぶん赤旗」2006年3月9日)。

さらに本州から沖縄にかけて七カ所の低空飛行訓練空域がある。事前の通告もなく、米軍機が山中のダムや建物、時には民間機を「訓練の標的」にした危険な超低空飛行を繰り返している。九四年には高知県の早明浦ダムに墜落。最近では99年1月高知沖で米軍機二機が接触、墜落。翌日には米戦闘機が釜石市の山中に墜落した。墜落事故が絶えない。
米国本土はもちろん、ヨーロッパでも低空飛行のルートは事前に明らかにされている。ところが日本政府は米軍に問い合わせすらしない。
卑屈な態度をとり続ける自民党政府はまさに「売国奴」である。「美しい国」は国民の利益を守る政府を樹立して私たちの手で取り戻すほかない。

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