プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

政府税制調査会新体制スタート ますます最大の既得権益「財界」と直結

2006-11-08 19:11:43 | 政治経済
今後の政府税制調査会の答申が従来の自民党・財務省役人路線以上に「財界」(その主導勢力はキャノンやトヨタのような多国籍大企業)の要求をストレートに反映するものになることは火を見るよりも明らかである。小泉内閣の竹中平蔵がそうであるように大学の教授といってもその専門分野ではたいした業績がないが、支配階級のためには大きな仕事をすることがあるので安倍内閣の本間正明も要注意である。
安倍政権は法人税減税を確実にするため、税調の体制も見直し、委員を大幅に入れ替えた。事務局を従来の財務省から内閣府に移し、法人税の追加減税に批判的な意見をのべてきた労組や自治体代表らを、税調の正委員から議決権のない「特別委員」に「格下げ」する念の入れ様である。

財界の2007年度税制改正への要求は減価償却制度の見直しによる法人税減税、上場株式等の譲渡益や配当に対して軽減税率を適用する証券優遇税制の延長、研究開発投資を促進するための控除率の見直し(租税特別措置)などがその主なものである。本間新会長は間違いなくこれらの要求を忠実に実現する答申を今月中に提出するであろう。減税規模は5000億円を上回るといわれている。一方、庶民に対しては、07年の1月から所得税の定率減税が全廃され、6月には住民税の定率減税が全廃されることがすでに決まっている。6月には、低所得高齢者の住民税非課税限度額廃止に伴う増税の経過措置の縮小も決まっている。
本間氏は総会後の記者会見で今後の議論の中で、「法人税の課税ベースや税率の問題が浮かびあがる」とのべ、財界のかねての要求である法人税率見直しに言及することを忘れていない。
法人税減税で安倍首相や本間氏が言うようにたとえ経済成長が実現できたとしても法人税減税によって税収弾性値が下がることは目に見えている。その穴埋めをどうするのか。個人への増税(その最悪は消費税増税)や社会給付削減に直結することも目に見えている。

7日の政府税調総会は、安倍首相や尾身幸次財務相のほかに、塩崎恭久官房長官や官房副長官、内閣府事務次官らが出席し、官邸主導を印象づけた。安倍首相は同総会に出席し、政府税調にたいし、(1)国際競争力の強化・活性化(2)歳出削減を実施した上でそれでも対応できない社会保障や少子化などの負担増に対する安定的な財源確保―などに応える税制「改革」を諮問。庶民にとって最悪のシナリオ=法人税減税と消費税増税とともに、社会保障関係費のいっそうの削減を示唆した。

政治が「財界」の階級的利害をむき出しに国民へ攻撃をかけてくるとき、私たちはどうするか。国民主権を駆使して政治を変える以外にないではいか。私たちの利害を守り、主張する税制調査会メンバーが選ばれるようにするほかないではないか。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。