映画館の話でなくてまたまたDVDの話で申しわけない。田舎のシネコンにはなかなかいい作品がかからなくて、休日にDVDをまとめて見る習慣が身についてしまいました。
『やわらかい生活』は昨年の6月封切りの作品で廣木隆一監督の作品です。主演の寺島しのぶとは03年の『ヴァイブレータ』以来のコンビで注目していた作品なのです。原作は芥川賞作家の絲山秋子の短編『イッツ・オンリー・トーク』だそうです。文庫本になってから読んだことがあります。
映画は、寺島演じる優子は35歳独身女性。バブル時代を生き、一流企業の総合職として邁進してきたけど、両親の事故死、友人の死により、突然精神状態が不安定になり、躁鬱症状により、病院の入退院を繰り返し、全てをすてて蒲田で独り暮らしを始めるという話です。誰からも何からも縛られない彼女の周りにどこか痛みを抱える男たちが群がってくるというストーリーです。
映画の冒頭で、突然『良心的な痴漢をやってみませんか』というインターネットの書き込みに応募して、映画館で痴漢行為に没頭する優子の映像には「寺島またか…」という気持ちになりましたが、あっさり別のカット割りになり、田口トモロヲ扮する痴漢氏が「痴漢はやっぱり場末の映画館でしょう。」と蒲田の映画館を指定するあたりはこの映画がただものではないと思わせるスタートでした。
その蒲田が気に入って蒲田に引っ越してきて、蒲田のHP(ブログ)を立ち上げ気に入った光景をデジカメで写して歩く優子は実に自由で、開放的なムードに満ちています。
その優子の周りに区会議員をしている大学の同級生本間が現れます。でもその彼はEDで優子の心の隙間を埋めるにはちょっと…という存在。HPを見て電話してくるチンピラの安田(妻夫木)もやくざ者にしては少し優しいところがある存在。その彼も躁鬱の症状があり、薬を常用しているという存在。
両親の法事に故郷に帰った時に再会したいとこの祥一(豊川悦司)もまた優しい存在という設定です。豊川の出現で、またいつものどろどろしたものになっていくのかと思いましたが、『愛の流刑地』のようなことはなく、実に淡々と流れていきます。
ひとことで言うなら優子をめぐる群像劇ということになるかもしれません。優子をめぐる優しくてダメな男たちの“危うい”関係がなかなか面白いものと言っても良いと思います。
途中、優子が極度の鬱状態になった時の描き方はなかなか強烈で、その優子を優しく包み込む祥一の存在は、ちょっと不思議な感じでした。
映画を見終わった感想は、働くキャリアウーマンたちに向けて、「そんなに一人でがんばらなくてもいいんだよ」と言ったメッセージがこめられているような感じがしました。最近「ここらでちょっと一休み」的なメッセージの映画が増えてきているように思います。
キネマ旬報では12位という位置でしたが、もっと高い評価を与えてもいいのではないかと思いました。
男性の監督が描いた女性のための映画という側面もあるのかもしれません。一度見る価値があるのではないかと思います。
『やわらかい生活』は昨年の6月封切りの作品で廣木隆一監督の作品です。主演の寺島しのぶとは03年の『ヴァイブレータ』以来のコンビで注目していた作品なのです。原作は芥川賞作家の絲山秋子の短編『イッツ・オンリー・トーク』だそうです。文庫本になってから読んだことがあります。
映画は、寺島演じる優子は35歳独身女性。バブル時代を生き、一流企業の総合職として邁進してきたけど、両親の事故死、友人の死により、突然精神状態が不安定になり、躁鬱症状により、病院の入退院を繰り返し、全てをすてて蒲田で独り暮らしを始めるという話です。誰からも何からも縛られない彼女の周りにどこか痛みを抱える男たちが群がってくるというストーリーです。
映画の冒頭で、突然『良心的な痴漢をやってみませんか』というインターネットの書き込みに応募して、映画館で痴漢行為に没頭する優子の映像には「寺島またか…」という気持ちになりましたが、あっさり別のカット割りになり、田口トモロヲ扮する痴漢氏が「痴漢はやっぱり場末の映画館でしょう。」と蒲田の映画館を指定するあたりはこの映画がただものではないと思わせるスタートでした。
その蒲田が気に入って蒲田に引っ越してきて、蒲田のHP(ブログ)を立ち上げ気に入った光景をデジカメで写して歩く優子は実に自由で、開放的なムードに満ちています。
その優子の周りに区会議員をしている大学の同級生本間が現れます。でもその彼はEDで優子の心の隙間を埋めるにはちょっと…という存在。HPを見て電話してくるチンピラの安田(妻夫木)もやくざ者にしては少し優しいところがある存在。その彼も躁鬱の症状があり、薬を常用しているという存在。
両親の法事に故郷に帰った時に再会したいとこの祥一(豊川悦司)もまた優しい存在という設定です。豊川の出現で、またいつものどろどろしたものになっていくのかと思いましたが、『愛の流刑地』のようなことはなく、実に淡々と流れていきます。
ひとことで言うなら優子をめぐる群像劇ということになるかもしれません。優子をめぐる優しくてダメな男たちの“危うい”関係がなかなか面白いものと言っても良いと思います。
途中、優子が極度の鬱状態になった時の描き方はなかなか強烈で、その優子を優しく包み込む祥一の存在は、ちょっと不思議な感じでした。
映画を見終わった感想は、働くキャリアウーマンたちに向けて、「そんなに一人でがんばらなくてもいいんだよ」と言ったメッセージがこめられているような感じがしました。最近「ここらでちょっと一休み」的なメッセージの映画が増えてきているように思います。
キネマ旬報では12位という位置でしたが、もっと高い評価を与えてもいいのではないかと思いました。
男性の監督が描いた女性のための映画という側面もあるのかもしれません。一度見る価値があるのではないかと思います。
たしかにただものではなさそうなので?機会があったらぜひ観てみたいと思います。