とりあえず一所懸命

鉄道の旅や季節の花、古い街並みなどを紹介するブログに変更しました。今までの映画や障害児教育にも触れられたらと思います。

映画「マイマイ新子と千年の魔法」を観て

2009-12-06 23:35:16 | 映画
「マイマイ新子と千年の魔法」を観てきました。
アニメを映画館で観るのは今大学に行っている息子が小学生の時以来なかったので、
映画に入り込むのに時間がかかりました。
舞台は、山口県防府市。
時は昭和30年代主人公は小学3年生の女の子新子。
しゃべることばは、今のことばではない生粋の山口弁。
原作者は防府高校出身の芥川賞作家・高樹のぶ子。
これほどまで、山口の人間が観なければいけない設定はありません。

映画が始まってすぐにこれは、トトロや、「千と千尋の神隠し」の世界の山口版だと思いました。
どこまでも続く麦畑と青い空、そこを元気よく走り回る主人公新子の姿。
どう見てもジブリの世界でした。

ストーリーを少しだけ紹介すると
新子は空想好きの夢見る小学3年生。
マイマイつむじがピクピクすると空想の世界に入り込んでしまいます。
元教師の祖父の影響で、防府に国衙があった頃の歴史の世界を空想するのが大好き。
直角に曲がる水路を見つけては「ここは誰のお屋敷があったのか」だとか、
「この道は千年も昔からあったんだ」と言われると、そこを通る人たちを想像してしまうような性格です。
そんな新子のクラスに東京から転校生・貴伊子がやってきます。
都会からの転校で、なかなか街に馴染めない貴伊子が気になる新子。
はじめはそっけない態度の貴伊子も、だんだんと新子のペースに乗せられ、ふたりは仲のよい友達になっていきます。

新子がいつも空想していた千年前の世界。それは、やがて不思議な出来事となってふたりを包み込んでいくことになります。
子供たちがたくましく生きていた昭和30年という時代を背景に、感受性豊かな子供たちの世界を、ファンタジー溢れる物語になっています。

映画の中の子どもの世界は現代の子どものそれとは桁外れです。
現代のように遊び友だちが少数の同学年に限られていて、
しかも電話でアポを取って、どちらかの家の室内でテレビゲームで遊ぶような子どもたちとは桁外れの子ども集団が展開されていきます。

路地裏原っぱで異年齢が群れて遊ぶ風景は現代では見られません。
しかも、流れをせき止めてダムを造ったり、桑の実を取って食べてみたりと、爆発的なエネルギーを感じます。
この天真爛漫な遊び生活の延長に空想世界もあるのだと言わんばかりです。

後半、大人の世界に出会う場面があります。
ひりひりした大人の現実に出会うことでもう一つ大きな自分になっていきます。
歓楽街の大人たちの集団を見ていると、今より昔の子どもたちのほうがひりひりした大人の社会を見せられていたように思います。
傷痍軍人のアコーディオンや松葉杖はお祭りや初詣の場所には必ずいたように思います。

千年の魔法で言えば清少納言は父親の清原元輔に従って、防府に下向したとされます。
その当時清少納言の年齢は満8歳。
小学校3年生の新子と同じ年齢ということになります。

映画に出てくる時代背景や、遠景の山々も防府の街をそのまま再現しているそうです。
多々良山はもちろん、桑山も右田ヶ岳も再現されています。
三田尻駅で登場してくる防府の駅の周辺も見事にリアルに表現されています。
そこらあたりも見所のひとつになっています。

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