パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

鬱の日には

2006-01-25 21:06:24 | Weblog
 いやー、どうも深刻な問題が持ち上がっちゃいましてね。鬱々とした気分を振り払うべく、牛丼の松屋に出かけ(なんのこっちゃ)、チキンカレーを食していたところ、対面のカウンターで中国人か韓国人風の若い女性が二人、牛丼を食べていた。もれ聞こえてくる会話からは、どうも韓国人らしい。
 そのうちの一人が、はっきり言って、東アジア女性の利点である「美しい肌」の持ち主では無く、色も黒いのだが、それにもかかわらず、いかにも東アジア風の美人というか、パール・バックの『大地』における「利発で、果敢に困難に立ち向かう情熱も持つ農家の嫁」という感じ。
 そんな彼女を見ながら考えた。美人の基準とは何なのか。西欧系(北欧系)、中欧系、東欧系の美人はそれぞれ微妙に異なっても、基準はほとんど同一だろう。中東からインドとなると、かなり「美人」の肌合いはことなってくるが、それでも共通した基準を持っているような感じがする。
 ところが、中国、朝鮮、日本といった東アジアにくると、基準そのものがちがってくるような感じがする。しかしそれでも、たとえば日本人が西欧人の美人・不美人を見分けることができるように、西欧人も、日本、あるいは韓国、中国の美人・不美人を、どこまで深く分け入ることができるかは別として、見分けることができる。これはなぜなんだろう。

 あんまりたいした問題ではないが、「鬱々とした気分」を振り払うにはこんなことを考えるのがちょうどよい。

 しかし、たいした問題ではないと言ったけれど、「見分ける」ということは、いろいろな意味で大問題だ。たとえば濃い色のサングラスをかけても、赤色はちゃんと赤色に、青色は青色に認識されるのは、どういうメカニズムを通してなのだろう。さらに、私が見ている「赤色」と、あなたが見ている「赤色」は同じものだろうか、ということになると、「クオリア(質感)問題」といって、科学では判断が不可能ということになっている。つまり、たとえば私が今見ているパソコンのデスクトップはブルーグレイで、ファイルにも「ブルーグレイ」と書いてあるのだけれど、でも、私が今見ているデスクトップを別の人が見て、「なるほどブルーグレイですね」と言ったとしても、その「ブルーグレイ」が、その人の目にどう映っているかとなると、まったくわからない。
 うーん、どうでもいいことのような…気もする(笑)。

 しかし、色の問題は、今書いた、それが主観的にどのように受容されているかという問題(クオリア問題)を除けばよくわかっている。つまり、色とは、光の波長が視神経に与える刺激の問題であって、本質的には、触覚と同じ、「直接知覚」として扱える。
 問題は、直接触れていないのに、対象の状態を把握できる「間接知覚」すなわち、「空間知覚」であって、ギリシャ時代から哲学者が論じてきたが、近世以来、眼球をカメラに例えることで説明されてきた。しかし、カメラ仮説で空間知覚は、実際のところ、ほとんど説明できない。

 となると、まず、「空間知覚」とは何かということを説明しなければならないが、写真や絵画の比喩で語られるような、ただ単に「モノが距離を隔てて存在していることが見える」、ということではなく、その、「モノ」で充満している空間を、人間(いや、地球に生息しているあらゆる動生物を含む)が適確、かつ自由に動き回ることを可能にしている知覚が「空間知覚」であって、では、それを可能にしているメカニズムは何かというと、それが、従来は「カメラ仮説」で説明されてきたわけだが、実際にはそれは、ただ「モノが距離を隔てて存在しているところが見える」と言っているだけで、「動物が空間を適確、かつ、自由に動き回れるのは何故か」という、視覚が主に担っている問題を「カメラ仮説」で解決することは不可能である、ということで出てきたのが、視覚も実は対象を直接に把握することができるんだという、ちょっと前から書いているアフォーダンスざんす。(あ…)

 と、しばし鬱を忘れるべく努力してみましたが、実を言うと、鬱というより、むしろアドレナリンが出まくっちゃうような事態でもある。
 ま、このことは機会があったら書きます。

 では、1月25日はこのへんで。

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1 コメント

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全然違う話。 (うさぴょん)
2006-01-26 14:27:42
先日古本屋(ブッ○オフ)で本の会計を済ませた後スタスタ出口へと歩いていたら一瞬「ケ○ロ」という文字が目に止まったような気がして足が止まり、あれっと思いながらも本棚をよくよく見てみたら「ケロ○軍曹11巻」を発見。無事立ち読み完遂いたしましたが、もしかするとこれはあの「アフォーダンス理論」でしょうか?
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