パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

ブラック企業対策

2012-11-19 21:43:07 | Weblog
  「ブラック企業」(文春新書)を購入。

 ブラック企業とは,要するに新卒を大量に雇い入れ、営業成績が芳しくない社員を、いじめたり、難癖つけたりして早期に辞めさせるという企業で、IT企業とか、外食産業に多いらしい。

 著者の今野晴貴は、労使一体の関係のなかでの生涯雇用を理想とする日本の雇用習慣を悪用したものだと解説している。

 私の親父は一応保険会社の重役だったのだが、その父親に「労働者ってどんな存在なのだ」と聞いたことがある。

 父親曰く「わからない」。

 父親は、一応,慶応の経済出身なのだが……自分も雇われ重役として「労働」している、それも平社員より働いているという自覚はあったろうから、労働者と経営者の明確な違いがわかりにくいということは、私もわかる。

 「ブラック企業」に入った若者が過酷な試練に耐えてしまい、場合によっては過労死に追い込まれてしまうのも、自分が労働者だという自覚に乏しく、企業経営に参画し、運命共同体の一員を担っているという気持ちがあるので,お前は会社のお荷物だみたいないじめに必死に耐えてしまうのだと思う。

 実際、「ブラック企業」の著者も、ブラック企業でいじめにあったりしたら、「労組」に駆け込むのが一番の対策だと書いているのだが、日本の労組は企業単位で、会社と一体になっているので、実際はなかなかむずかしいし、そもそも本人に労働者の自覚がないので、自分が労働者になると、自分のアイデンティティが失われるような気持ちになってしまうのだと思う。

 ではいったい「労働者」とはいかなる存在なのか。

 私が思うに,労働者とは、元来、奴隷なのだと思う。

 だから、自分の生存を第一義的に考える。

 指導者階級のように「聖なる義務」なんかに縛られない。

 「聖なる義務」なんて、くだらない!というわけではないけれど、最終的には,ヘーゲルも言っているように、使用者は奴隷に依存するのだ。

 何を言いたいかというと,要するに、格差社会にどう対処したらいいかというと、前から言っていることだが、「労働者階級」をつくるのが一番だ。

 「労働者よ、団結せよ」じゃない。

 日本には労働者がいないのだから、自ら労働者になるべきなのだ。(もっとも私は怠け者なので,「なれ」とけしかけるだけで,自分はなれないけれど。)

 日本の官僚は、これを絶対に阻止しようとしているのだ。

 日本には労働者階級がいないという伝統を断固として守ろうとしているから、どこの国でも為政者の義務としてやっている「低所得者向け住宅」が(戦争直後の一時期を除き)ないのだ。

 嘉田滋賀県知事が新党結成、小沢参謀とかで、これでけっこう面白いことになりそうだ。

 ともかく、「敵」は中央官僚なのだから。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿