パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

俗人モーム

2008-07-24 22:57:56 | Weblog
 OCNから手紙が来て、今年の10月から請求書の郵送を止め、メールにするという。

 それはいい。郵送料だってバカにならない。だから、いいのだが、その分、サービスに勤めますのでよろしくとか、挨拶の一言くらいあってもいいだろう。何もなしに、いきなり「10月からそうします」だもの。

 その手紙は今ちょっと見当たらないので、見つかったら、具体的文面を紹介する。(同じ手紙を受け取った人は少なくないと思うけど)

 編集画面へのアクセス時ではなく、投稿時に身元確認のパスワードが要求されることも相変わらずで、昨日も要求された。

 それでもなんで続けているかと言うと、前にも書いたけれど、ADSLに戻すことが不可能であること、もう一つは、なぜかわからないが、光の基本料金がかなり安い。3500円弱なのだ。もちろんこれにいろいろプラスされるけれど、大体、4000円前後で済んでいる。

 価格ドットコムなどで調べた限り、かなり安い。ソフマップのお買い上げ店頭キャンペーンで入ったのだが、特別な契約だったのか?

 それで、ムカムカしながら続けている。

 話は変わるが、サマセット・モームの短編を読む。「雨」と「赤毛」だ。

 感想。な、なんでこれで文豪なの?だ。

 「雨」は、謹厳なプロテスタントの牧師が、軽薄な売春婦(トムスンという。なんか、男みたいな名前だが……)をサディスティックに責め立てるが、最後に、「肉の欲求」に負け、自殺するという話。

 大体そうなるだろうなあ、と思ったら、そうなった。

 まあ、それはいいのだけれど、たとえば、牧師が自殺する前の晩に、牧師は、ネブラスカの山の夢を見たと知り合いに言い、その知り合いは、アメリカ人でそのネブラスカの山の外見が女体の曲線を思わせることを知っているので、一瞬、「あれ?」と思う。つまり、売春婦の誘惑に負ける予兆ということなのだが、読んでいて、「ちょっと無理だなあ」と思っていたら、その「無理」を強行していた。

 あと、牧師がトムスンを懺悔させようと二人きりであう場面があるが、直前でカットされている。二人の問答は一切作中に現れない。

 モームファンは、そこが深謀遠慮でいいのだと誉めるのだろうが、私に言わせれば、「それはないよ」である。「カラマゾフの兄弟」の大審問官の場面みたいに大袈裟でなくてもいい、遠藤周作程度でもいいから(とかいって、遠藤周作の「キリスト教もの」は読んだことがない。「おばかさん」というのを読んだきりだが、これは結構面白かった)、「問答」は不可欠だと思う。

 まあ、ともかく、私が編集長だったら「没」だ。

 「赤毛」はこんな話だ。ある定期船がトラブルで、乗り組み員全員臨時に陸に上がることにする。船長は、はげ頭のデブだったが、実は若い頃は長い赤い髪をした絶世の美声年で、現地(南太平洋の島)の少女と恋愛をし、途中で別れざるを得なくなって、今はしがない定期船の船長をやっているのだ。

 一方、捨てられた少女は、その後も赤毛の青年を思い続けるが、彼女をみそめた別のスエーデン人の男性に迫れれ、断り切れずに結婚する。

 その二人の家に、かつての美声年、今ははげ頭のデブ中年の船長が、そうと知らずに一晩泊めてくれと言ってくる。

 しかし、その船長も、スエーデン人の現地人の妻も、お互い、かつての恋人同士であったことを全然わからない。

 妻は、船長を送りだしてから夫に聞く。「あの人は誰だったの?」

 こ、こ、こんなんで人生の真実を悟らせようとは、モームのニヒリズム、無神論は完全に「嘘っぱち」というべきだろう。

 もちろん、モームがニヒリストではなく、無神論者ではないというわけではない。多分、実際にニヒリストで無神論者なんだろうけど、そのニヒリズム、無神論は、モームという俗人の世渡りのための方便なのだ。

 もっとも、モーム自身、自分は俗人だと強調しているらしいから、騙されるやつは騙されるしかないとしか言い様がない。

 とかなんとか、まるでモームを詐欺師扱いだが…「雨」のなかでただ一箇所、すごいと思った場面がある。それは、「サンフランシスコに送り返さないでください」と、牧師に哀願するトムスン嬢に、牧師が「刑務所か」と言う場面。

 これは、牧師の言葉じゃない。モーム自身がそうだったという、「特殊情報員」の言葉だ。怖ッ~。

 追伸 ちょっと訂正。私が編集長だったら、「雨」は掲載してもいい、「赤毛」はボ~ツ!

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
初代についてお尋ね (土方)
2008-07-25 07:53:01
はじめまして、潮田さん。
初代の南原四郎さんについて知りたい者です。
当方はPUK設立メンバーの一人の息子です。
個人的なメールのアドレスはありますか。
一度お会いしたいのですが、、、
登久子さんにはお会いしています。
それでは。
土方
返信する
Unknown (南原四郎)
2008-07-25 14:18:54
「初代」というと、うちの親父なんですけどねw
あ、そうか、プークのことですね。

メールは、nanbara_4@aroma.ocn.ne.jp

です。
返信する
暑中お見舞い申し上げます (さくらこ)
2008-07-26 14:57:34
毎日暑いですねー南原さん。
以前モームって読んだことがありますが
そんな話でしたっけ?と、思わず爆笑して
しまいました。。。
もう一度読んでみますねー笑

マックばかりではなく、ちゃんと野菜も摂って
くださいね。心配です。

あと、写真集、待ってますのでがんばってね。
毎日チェックしてまーす☆
返信する
Unknown (Unknown)
2008-07-26 17:58:35
 えー,そんな話なんですよ。

 「赤毛」では、中年の船長が丸木橋の上でちょっとバランスを崩すんですが、それが伏線になっているんです。というのは、その中年の船長が絶世の美声年の頃、現地の美少女の家に通う時に、その同じ丸木橋の上でずっこけるんです。

 面白いでしょう?
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