バラバラ事件、その２

　昨日から、頻繁にニュースをチェックしているのだが、「警察は、武藤勇貴が新宿のバラバラ殺人事件との関係についても、慎重に調べている模様です」といった報道は一切なし。どうも、警察は、直前に起きた事件をすっかり忘れているようだ。２chや、この事件に言及したブログもいくつか見てみたが、こちらも同様。ただ、渋谷の神山町に放置された若い男性の下半身についてのスレが残っていて、その最後の方に、幡ヶ谷で近親相姦を思わせるような、さらに猟奇的なバラバラ殺人事件が起きたから、「みんなこっちのことは忘れちゃうのだろうなあ」という書き込みがあったのが唯一の関連書き込み。確かに、みんな忘れてしまっているみたいだが……。

　しかし、このスレでいくつかのことがわかった。

　まず、放置した場所は、ＮＨＫの裏手の、いわゆる「土地勘」のないものはなかなか行かない場所であること。誰かが、「神泉」と間違えた書き込みをして、「神山」と「神泉」では雰囲気がまったく違うと訂正されていた。私も、世田谷で生まれ育った人間だから、あの辺のことは少し知っているが、たしかにその通りで、「神泉」と「神山」は土地柄として全然ちがう。「神山」は幡ヶ谷とほとんど同一地域といってもいいような場所だ。もちろん、距離的にも、昨日は１キロくらいかと書いたが、１キロもないだろう。つまり、幡ヶ谷の住人だったら、神山町に「土地勘」が働いても全然不思議ではない。
　それから、現場近くで、白い乗用車に乗った２０～３０代のカジュアルな格好をした若い男性が目撃されていること。
　第３に、犯行後、一日以内に切断処理を完了していて、手際がよい（この情報のソースはわからなかったが）が、放置の仕方等は非常に杜撰であること。

　う～む。どれをとっても、武藤勇貴と結びつかない情報ではない。

　しかし、最新のニュースでは、警察の取り調べはもっぱら「動機」に集中しているようで、それに対し、妹に「夢がないね」と言われたこと、自分が、受験生であることで、家族の中で軽視されていたこと、などと供述しているらしい。
　やれやれ、これでまた、受験制度の問題なんかに話題が集まるのだろう。たしかに、受験のプレッシャーで神経質になっているところに、「勉強しても無駄」みたいなことを言われたら、カーッとなって殺してしまうというようなことは、おおいにあり得るが、しかし、だからといって、殺した死体を鋸でバラバラに切り、さらに内臓をえぐり出すなんてことまでするだろうか。普通だったらしないと思うが……。

　したがって、武藤勇貴に「動機」を問うならば、「殺した理由」ではなく、「死体をバラバラにした理由」をこそ問うべきだと思うが、警察としては、この問題は、「死体損壊」の四文字で解決済みということなのだろう。（たしかに、裁判では、死体をバラバラにした理由なんかは問われないだろう）

　ところで、ニュースによると武藤某は、妹が家族の中で問題になっていた云々と言っているということだ。これは聞き捨てならない発言だ。家族全員、よってたかって被害者を殺してバラバラにしたとでも言うのだろうか？　信じ難いことだが、その可能性はある。最初から、家族の行動がなんか不自然であるという指摘はあったのだし。
　しかし、もし、そうでないとしたら、武藤某は、受験問題、家族問題等、日本が直面している諸問題に腐心する世間に悪のりして免罪を計っているのだ。そして、限り無くバカになりつつある日本社会は、この「悪のり」に猛反発しながら、結局は、武藤某の思惑通りに、「免罪工作」に加担してしまうのだろう。

　繰り返すが、この予備校生がもう一つのバラバラ殺人の犯人であるという具体的な証拠があるわけではないが、私の知る限り、シロであるという証拠もない。だったら、「もしや……」とぐらいは考えたっていいだろうと、私は思うのだ。それだけなのだ。