パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

「猟奇王」健在

2007-03-31 20:42:45 | Weblog
 今、製作中のナンバラ総合サイトの参考のため、川崎ゆきおサイトを覗く。

 小説、マンガ、エッセイ、フリー素材、日記、フォト日記などから成り、マンガは有料でダウンロードでき、集金システムも一丁前についている。
 
 まず、日記を覗くと……

  ■2007/03/12(月)

   今日も寒いが晴れている。なかなか春めかないと思うのは暖冬のせいかもしれない。

 ――そうそう、そうなんだ。全く同感である。今年は記録的な暖冬と言われ、実際にもその通りらしいのだが、それが先入観になってしまって、“暖かいという割には寒い”と、ずっと感じていた。三月に入って、“春の訪れ”が足踏み状態になってから、「そらみろ、やっぱり寒いではないか」とつぶやく始末。ブログに書き込もうと思ったが、そのうち、本当に暖かくなってしまい(今日は寒かったが)、書くチャンスがなくなってしまったのである。

 「エッセイ」は、お手のもののマンガつき。懐かしき、「猟奇王」が「エッセイ」の主人公として街を徘徊しているイラストがついているが、その絵柄が、依然として、全然変わっていない。「変わらない」ということは、10年前に見ても、20年前に見ても、30年、40年前に見ても、全然変わっていないということだ。当たり前だが……あれ、待てよ……頭の中から昔の「猟奇王」を引きずり出してみると、結構、変わっているような気もする。
 城山三郎の「毎日が日曜日」じゃないが、「猟奇王」は、昔から、常時、「懐かしさ」という衣装をまとった、「レトロ」の王様で、その衣装の絵柄は実際は少しずつ変わっているのだが、それが指し示す「懐かしさ」はいつも同じなのだ……と思わず哲学的になってしまうところが、川崎ゆきおの特徴、魅力なのだろう。(実際、「マンガ」として楽しもうと思っても、ちょっと……だし)

 さて、その「マンガ」は有料なので、とりあえず無料の「小説」を覗いてみたら、驚いたことに、ほぼ毎日(!)新作をアップしている。もちろん、ごくごく短いものなのだが、数本読んで、おもしろいと思ったのは、「進路相談」だった。

 進学すべきか、就職すべきか、進路に迷った高校生が、進路相談の教師に、実は、進学も就職もしたくないと本音を言う。教師は、「悩むことはない。こんなことで人生なんか決まりはしないよ。気楽にいけ」と諭し、高校生はいい加減な私立大学に入ることにする。しかし、一つフに落ちないのは、「どこで人生は決まるのか」ということで、教師に、「いつの間にか、自然に決まるんだ」と言われるが、この言葉を理解できたのは、「定年退職後だった」……という落ち。

 おもしろくないか……(笑)。しかし、これを読んで、なんとなく秋山祐徳太子を思い出した。
 秋山祐徳太子はもう70を過ぎようかという歳で独身だが、最新のエッセイ本で、いつか結婚して、奥さんとこんな会話を交わしたいという。

 「あなた、お帰りなさい。お風呂にしますか?」
 「おまかせします」
 「食事は何にしますか?」
 「おまかせします」
 「あなた、人生、どうします?」
 「おまかせします」。

 もちろん、これこそ、「諧謔」という、男のもっとも高貴な精神の現れにちがいないのだが……。え? どこに川崎ゆきおの小説と共通点があるのかって? それは、就職も進学もしたくないという、ニート志望の裏に、実は、とある「高貴な心」が隠れているのであって……。(だから、定年退職後に云々という「オチ」は、実は必要無い。つまり、進路担当教師を「想定外」の質問で絶句させたところで、この短編小説は、完成しているのだ)


 プロ野球開始二日目の土曜日、テレビ中継、録画も含め、一切なし。
 ここまでプロ野球人気は落ちたか、と痛感……なわけはない。前にも書いたとおり、巨人におんぶだっこできたテレビマスコミの根本的戦略ミスなのだ。
 
 イギリス女性殺害犯人いまだ逃亡中。できれば、このまま逃げ切って欲しい。そして、日本警察の無無能力を世界に曝して、大反省のきっかけにしてほしい。(でも、いくら反省したって、今のレベルのままでは、幹部一同揃ってお百度参りくらいのことしか考え付かないような気がするが)