パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

やっと……

2006-12-13 22:34:41 | Weblog
 夕方、校正を戻した。これで、来週末には本ができる。

 しかし、校正ゲラをみながらつくづく思った。我ながら難しいことを書いてしまったと。

 フランスのリュミエール兄弟が世界初の映画上映会で「列車の到着」を映した時、驚いて逃げようとした観客がいたくらい、人はそれに驚いたが、では、その後、本物の列車を「映像」と見間違えてひかれて死んだ、なんて人は一人もいない。どうして、ある時は映像と現実を区別でき、ある時はできないのだろうか……という問題から考え出したら、最後には現代数学(トポロジー、位相幾何学)にまで及んでしまった。
 といっても、トポロジーは最後に「あ、これか」と思ったものなので、ちょっと触れるに止まったのだが、でも、「映画を見る」という体験は、トポロジカルなものだという感じはしませんか……ね?
 たとえば、人は、スクリーンに触りたがる。何故触りたがるかと言うと、そこに「なにか」があると思うからだ。何故、そこに「なにか」があるのかと思うのかというと、そこで、なにかが「動いている」からだ。ということは、その時、そこにトポロジー空間が成立しているのだ……といったようなことなのですが。

 ともかく、年内にお届けすることはできることになりました。(3年前もそうだった)