パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

高速道路問題、再び

2006-12-11 23:02:24 | Weblog
 安部内閣支持率低下。
 とはいえ、47%ほどの支持はある。しかし、ちょっと前だったら支持率が5割近ければ大変な高支持率で、大体3割前後が普通だったが、それでも、政権維持できたのは、与党の自民党と一体だったからだろう。
 しかし、小泉以来、いわば大統領型内閣になったために、支持率の低下は内閣に直接ダメージを与えるようになった。安部内閣は従来型か、大統領型かというと、マスコミ、世論は大統領型と見ているから、47%でも騒ぐ。安部首相自身も「率先垂範」で、ことにあたる「大統領型かつ改革派」をイメージしているだろうから、47%はまだ大丈夫としても、これからさらに5ポイントくらい下がったら、さすがに危機を自覚せざるを得ないだろう。そしてその時、どのような政策を打ち出すかで安部内閣の真価が問われることになるのだと思う。

 ところで、道路特定財源が来年度は5000億円もあまってしまうそうで、じゃあ、それを道路公団の赤字補填に充てて、通行料金を下げたらどうかという意見が出たら、「改革精神に反する」とかでぽしゃったみたいだ。最悪のリゴリズム(厳格主義)!! 

 そもそも、今、「赤字補填」と書いたけれど、道路公団の抱える40兆円の「赤字」とやらは、要するに、高速道路建設費として、郵便貯金とか年金積立金などから借りた金で、ちゃんと払っている(といっても、一部税金で負担しているらしいが)。 しかも、「限界です。もう払えません、堪忍して下さい」というのでもない。ただ、毎年、新たに高速道路を作っているので、新たに生じる借金で支払い総額がなかなか減らず、公団発足当初の約束である、「建設費償却後の通行料無料化」がいつ実現できるかわからない。さあ、どうしよう……という話だった。今考えると、全然、「どってことのない話」だ(私は「当時」からそう思っていたけれど)。単に、「最初に約束しちゃったあれ、どうする?」という《道路公団内部》の話。
 ところが、年間3兆円以上もあったガソリン税のうち、本四架橋の建設費用返済分にあてていた5000億円が、払い済みとなったので、余ってしまった。
 このガソリン税は、高速道路建設に使われていた財政投融資(郵便貯金、年金等)とはちがう。どうちがうかというと、税金として集めたのだから国民に返す必要はない。財政投融資の場合は返さなくてはならない。それで、これまでも、ガソリン税の一部を道路公団の抱える財政投融資による借金返済に充てていたわけだが、これを、本四架橋分5000億をいっぺんに注ぎ込めば、ぐんと通行料金が安くなるだろうというのが、今出ている話。
 これに私見を付け加えれば、注入金の配分先を案配して、通行料金収入の多い東名阪神などのメジャー路線に金を入れることはせず、まず、通行量が少ない地方の高速道路に注ぎ込んで、これを一気に無料にする。そうすれば、地方の活性化にもつながるだろうし、また、これにより黒字路線は、稼いだ黒字分を他に回す必要も無くなる。この繰り返しを10年も続ければ、全額返済、めでたしめでたし……ということになるのではないか、ねえ、猪瀬さん? どうだろう、私の案は。でも、猪瀬さんが民営化して公団をいくつにも分けちゃったから、いざガソリン税の余剰分を分けるとなると、ぶんどり合戦でにっちもさっちも行かなくなるかでしょうねえ、きっと。まったく、百害あって一利なしだったんですよ。道路公団の民営化なんて。

 というわけで、猪瀬の『日本国の研究』を改めて一から批判し直そうと思って本棚を探したが、見つからず、代わりに、昨日書いた、「なくしたコート」が出てきた。紺色のダッフルで、丸めて段ボールに入れ、本棚の上にのっけていたのだ。気に入ってたコートなので見つかって嬉しい。しかし、昨日の今日で見つかるとは!……まあ、よくある話ではあるが。

 ちなみに、本が見つかったら、猪瀬批判を再開したい。では。