活眼明察日記

物事の道理や本質を見分け、真相を明らかにする眼力を養いたい

熱意足りない厚労省「生活調査」

2010-06-30 22:08:39 | Weblog
厚労省が発表した「09年版国民生活基礎調査」によれば、全国4801万世帯の2008年における1世帯あたり平均所得は547万5千円であった。

前年の07年に比べ、8万7千円も低下していることもあわせて発表された。生活が一段と苦しくなっていることが分かる。

ところで厚労省は、所得が低下した要因を高齢者世帯が増え、全体の平均を押し下げた結果と分析している。なお、経済環境の悪化が影響しているかどうかは分からないとしている。何とも頼りないかぎりである。

きちんとした分析をしないで、簡単に高齢世帯の増加と決め付けていること、いかにも役所らしい。

高齢世帯の増加ばかりではない。サラリーマン世帯では不景気を理由にした「賃金カット」。若者たちの低賃金労働に加え、就職難。不況による農商工業者の経営悪化。これらが複雑に絡み合った結果がもたらした所得の低下である。

また、厚労省が所管する国保料や国民年金保険料が、未納あるいは滞納世帯が増えている事実に照らしあわせれば、年齢に関係ないことが一目瞭然である。

「貧困化」が深く浸透していることに目を背け、簡単に高齢世帯の増加で済まそうとする厚労省の姿勢は理解できない。資料も豊富に揃っているはずである。

そして、このような調査結果を公表する以上、役人の知恵を総動員して、原因を分析することが役所に与えられた使命だと考える。これでは「子供騙し」である。