活眼明察日記

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自動車代替補助金 税金支出はまっぴら

2009-03-31 22:28:18 | Weblog
政府、次世代車へ買い替え促進へ 30万円補助金を検討(共同通信) - goo ニュース

政府が09年度にハイブリッド車等の低公害車を購入するユーザーに30~10万円の補助金を支給することが報じられた。これは考え物であろう。というより支給してはいけない。

金融危機による販売不振を、政府がてこ入れする必要はないからだ。その理由はこうだ。①メーカー各社は内需拡大の貢献を怠ってきた。史上最高益を続けながら、従業員の給料を上げずに、むしろ下げ続けてきた。

いまのわが国の経済悪化を招いたのは、自動車をはじめとする輸出産業がこぞって、労働分配率を上げず、内部留保にはしり、自己の会社の肥大化を進めてきた結果によるものである。特に自動車産業は数十兆円の内部留保を、低賃金労働の下、達成した。

②雇用の確保に無責任であった。特に非正規雇用の人たちを真っ先に「首切り」した。体力が十分にありながらである。このことは企業としての「質の低下」も示すものである。

いま仮に、非正社員に年間賃金300万円を払ったとしよう。トヨタが本日、3月31日までに、従業員6000人を削減することはすでに発表のとおりである。これを引き続き雇用したとき、1年間の支払い賃金は合計180億円である。10年間雇い続けてもわずか1800億円にしか過ぎない。

一方、株主への08年度の配当金は4432億円であった。ちなみに内部留保金額は08年9月末日で13.8兆円が計上されている。簡単に首切りして、社会的責任を果たさない企業に、どうして国民の税金をつぎ込む必要があるだろうか。

トヨタを例に引き出したが、ニッサン、ホンダにしてもトヨタ同様、内部留保金は豊潤である。いくら国内販売が不振であるからといって、自動車メーカーを助けるため、購入者に補助金まで出して、買い替え促進を図る必要などどこにもない。

ただし、内需拡大の努力と雇用の確保に万全であったならば、補助金構想は大賛成であった。しかし、メーカーの目に余る「体たらくぶり」に補助金の構想自体、本末転倒である。