Retriever Legend's blog

散歩好き、本好き、惰眠好き、犬大好きの彼(旦那)の戯言を僕が代弁します。

原発再稼動 その2

2015-05-15 18:57:18 | 東電 柏崎・福島原発の放射能漏れ

福井地裁 VS 鹿児島地裁

福井地裁(樋口英明裁判長)は、関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町、定期検査中)の再稼働をめぐり、住民らの訴えを認め、運転を禁じる仮処分決定を出しました。(2015.04.14)

原子力規制委員会の田中俊一委員長は、翌日(4/15)の記者会見において「事実誤認」(後日、国会に於いても「事実誤認」のレッテル貼りを)として、次の3点を述べました。(東京新聞2015.04.16)

①給水設備の耐震性をBクラスとしているがSクラスだ
②最大級の地震動は最大値でないとしているが断層が連動して動くなど不確かな要素も考慮して厳格に設定した
③外部電源が断たれると原発の冷却機能が不安定になるとしているがバックアップの配備を義務づけている


①判決文では、「外部電源と主給水の双方について、耐震性をSクラスに」としていますが、会見では不都合な外部電源に言及しません。(判決文では給水装置と冷却装置の誤認とも考えられる。)

②最大級の地震動(基準地震動)が一番大きな揺れの値(最大値)でなく、奇妙なことに「断層が連動して動くなど不確かな要素も考慮する」と一番大きな揺れの値(最大値)より低い数値になるとは。ど素人は『一番大きな揺れの値(最大値)』以上の数値(もしくは同値)になると考えます。

③判決文では、「使用済み核燃料プールの冷却設備の耐震性をSクラスに」としていますが、不都合な冷却設備の耐震性には触れず、「バックアップの配備を義務づけ」ていると述べていますが、前回メモしましたようにEPR(欧州加圧水型炉)の対策は「安全上重要な系統設備の多重性を独立系4系統設置」を義務付けていますが、日本は2系統に過ぎません。

原子力規制委員会(HPより)は、新規制基準について「常に最高水準の安全性を目指す」としていますが、運転を禁じる仮処分決定に対して田中俊一委員長は「新規制基準を見直す必要性は今のところ感じていない。決定はわれわれの審査や決定には影響がない」(東京新聞2015.04.16)と居直りました。


東京新聞HPより(2015.05.05)

鹿児島地裁(前田郁勝裁判長)は、九州電力川内原子力発電所1、2号機の稼働差し止め仮処分を求める住民の申し立てを却下しました。(2015.04.22)
 *以下メモは、南日本4/22日経4/22東洋経済4/25等を参照

争点は、①地震対策②火山の影響③避難計画の実効性ですが、前田裁判長は以下の判断をしました。

①自然現象の『不確かさ』を相当程度考慮して耐震設計し、東京電力福島第1原発事故を踏まえた重大事故対策もしている」とし、原発の耐震性を認定
②火山の影響は「巨大噴火の可能性は小さいと考える火山学者の方が多い」と否定
③周辺自治体の避難計画は「現時点で一応の実効性を備えている」と判断

住民側の判決への反論は、次の通りです。

①推定される最大地震動を採用すれば、基準地震動も1・5倍から2倍に跳ね上がるが、基準地震動を再評価し、当初の540ガルから620ガルに引き上げたがこの想定は甘すぎる

②「火山学会が総出で批判したほど科学的に根拠のないもの」であり「マグマ溜まりの状況を的確に調査する手法は確立されておらず、決定は事実誤認である」

③要支援者の避難計画は立てられておらず、鹿児島県知事自身が10㌔㍍以遠の地域では実効性のある避難計画を定めることは不可能と認めている

原子力規制委員会の田中俊一委員長は、定例会見(4/22)で「(新規制基準や原発の審査を)評価していただいたことは非常に歓迎すべきことだ」と恥ずかしげも無く発言。


樋口英明裁判長(福井地裁)は、憲法第七十六条第三項の「裁判官の独立」を具現化しており、前田郁勝裁判長(鹿児島地裁)は、最高裁判所事務総局の意向に従順な「ポチ」と考えます。