Retriever Legend's blog

散歩好き、本好き、惰眠好き、犬大好きの彼(旦那)の戯言を僕が代弁します。

ちょっと一服 朝日新聞編 その3

2014-09-21 09:42:26 | 東電 柏崎・福島原発の放射能漏れ

9月12日の朝日新聞朝刊一面は『吉田調書「命令違反し撤退」報道』の記事取り消し謝罪で埋め尽くされています。

同朝刊に「吉田調書(抜粋)」が収録されており、じっくり読んで見ました。

その結果、『命令違反し撤退』報道(5月20日朝刊)は誤報ではないと思いました。断定できないのは3月11日から15日かけての暴走する原子炉の状況、維持するための人員数、その人員数の増減等が明らかでないためですが、それでも読後感として「誤報ではない」と。

 

東日本壊滅、死を覚悟し暴走する原子炉に向かう吉田所長の姿が浮かびあがります。

3月14日所長の退避命令の意図に反して10km離れた2F(福島第二原発)に多くの職員(約9割650人)が退避したことに対して、予兆がありました。
3月13日早朝に1F(福島第一原発)3号機の圧力上昇があり免震重要棟への退避命令を1時間以上かけており、1F(福島第一原発)2号機の状況が深刻化しており、退避すべき運転・補修に関係ない人員、本部籍の人員を調べておくこと、バスに燃料を入れ待機するよう指示しています。

1F2号機の危機が収まらず、「バスで退避させました。2Fのほうに。」の後に「本当は私、2Fに行けと言っていないんです。」と。
1Fの近辺の線量の低いようなとこころに一回退避して次の指示を待てと言ったつもりなんです、の旨が続きます。

が、その後の発言の「2Fに行った方がはるかに正しいと思ったわけです。」、「伝言ゲーム」等、また退避した職員に「職務命令違反」の認識がなかったことから、『命令違反し撤退』報道は「職員が逃げ出した印象」を与えるとメディアから批判され、9月11日の社長記者会見で記事取り消しと謝罪になりました。


朝日新聞9月20日朝刊に折り込まれた謝罪文

淡々と語られていますが、奇異に思えた事が幾つも浮かび上がります。
・所長の退避命令を、伝言者はなぜ異なる内容で伝えたのか。
・ 2Fに退避したGM(グループマネージャー)と班長等を、2Fに着くと直ぐに呼び戻しており、GMと班長等は当初の命令をどのように考えたのか。
・逆に所長のGMと班長等への「戻れ」の命令が伝言者から正確に伝わったこと。 
・1F2号機の危機が収まっていないのにGMと班長等は「戻れ」の命令に従ったこと。
・この伝言者(複数?)は、所長の職務命令を故意に歪曲したのでは?   等

通常、組織内で上司が「A」を命令したのに部下が「B」の行為をすると「職務命令違反」となり処分の対象になります。

1Fでは明らかに「職務命令違反」がありましたが、「伝言ゲーム」のフレーズが一人歩きし「職務命令違反」を霧散させています。

これは、危機的状況にある原子炉に東日本壊滅、生死を賭ける方々(東電、社外)の『安全神話』への悔悟、コントロール出来ない未熟さ等の共犯者としての幻想が「職務命令違反」を霧散させていると考えます。

吉田所長は「今回のような事象(過酷事故)が同時に起こるとは、残念ながら3月11日までは考えていなかった。」旨を吐露しています。