Retriever Legend's blog

散歩好き、本好き、惰眠好き、犬大好きの彼(旦那)の戯言を僕が代弁します。

道化師の蝶

2012-02-12 18:07:10 | 読書ノート
不覚にも風邪(幸いインフルエンザではありませんでした。)に罹り、主治医のところで血管注射を一本。

熱は一夜で治まったのですが、微熱があり寝床生活を強いられていました。
小難しい本は症状が悪化しそうで、彼女に文藝春秋3月号を買ってきてもらい、「道化師の蝶」(円城塔)と選者の選評を読みました。

なにせ意識不透明のまま目を通したので誤謬は否めませんが、読後感のメモを。

あっと言う間に、楽しく読めました。

論理的に異なっていると考えられるところが何箇所かありましたが、著者の認識と読み手の認識の差異で、どちらも肯定され否定される類でした。

また、この表現はふくよかに膨らみ派生するのに、一行で始末されていることを残念に思ったフレーズも幾つかありました。

シュレディンガー方程式なりハイゼンベルグの不確定性原理など量子論の考え方を日常生活の事柄(言葉)に置き換えると、このような理工系の人々が「ニヤッ」とする文章になると考えます。



「これは文字です」(2012.01.11)においてメモしましたように、「道化師の蝶」も同じように、エネルギーはスカラー量として読めますが、方向性は読み取れず、先哲の難儀さが垣間見えました。

作品中の「言語」を「林檎」、「イルカ」等に置き換えて読むことも出来ます。(述部はそれなりに読み替えが必要ですが。)
その方がもっと楽しめた気もしますが、著者に失礼かな?

選者の川上弘美は「シュレディンガーの猫」を引っ張り出して選評していますが正鵠を突いています、石原の選評はお話になりません。

(2012.02.10 記)