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Creator's Blog,record of the Designer's thinking

毎月、おおよそドローイング&小説(上旬)、フィールド映像(中旬)、エッセイ(下旬)の3部構成で描き、撮り、書いてます。

Practice10. いくつかの気づき、提案の外側で

2017年11月22日 | Design&3DCG

 いくつかの気づき、提案内容の外側の話についてまとめておこう。

 ランドスケープソフトVueは、環境景観のバリエーションが比較的豊富だ。それもハワイの空であったり、サンクトペテルブルグの空であったり、またシャスタ湖の水であったりと、初期値の設定が固有名詞で属地的に表現されているのが面白い。そんな環境景観を試みて、まあこれは建築オブジェクトが客観的に見えるかなという視点でレンダリング画像を選んだりしている。そのためにこのプロジェクトでもカメラを40台ほど配置し、300枚ほどレンダリングした。

 このプロジェクトも提案することを考えていたので、最後は提案書(プロポーザル)にしておこうと考えた。だが建築の提案以外の提案がないので、まとめるのがあまりにも簡単すぎる。トータルコンセプトチャートを加え、あとはせいぜい住戸の間取りに関するインテリアデザインとか、既に行った事業収支などをつけるぐらいだ。あとはせいぜい低層部路面側に設けた商業機能のマーチャンダイジングぐらいしかない。だがまとめておけば、なにかと便利なのでやっておく必要性は高い。やらねばかあー、これはつまらない義務的仕事だ。

 3DCGは、映画の世界の影響か、なんでもリアルにつくるべきと考えている人がいる。だが本来擬似的な空間であり、ここではまだこの世に存在していない建築コンセプトの提案なのだから、リアルさは最初から追求していない。例えばサッシュなどの開口部は省略しているし、屋根も排水溝や貯水槽などの設備をいれたら、フラットというわけにはゆかない。それに人物も入れていない。フィギャアソフトPoserで人物を入れることがVueは得意だし、そのほうが建築のスケール感もわかりやすいが、それはコンセプトと関係する話ではないからパスした。だから実現される姿をできるだけ忠実に表現した建築バースではない。ここでは現実の完成形ではなく、コンセプトを表現しているのだから、これをスケマティックデザインという。スケマティックデザインについては、私が書いた本で解説している(三上訓顯著:環境デザインのプロデュース・コンセプトクリエイション・イマジニアリング、井上書院,2017)。

 この蛸錦プロジェクトの想定場所は、実際の京都の街だ。北は蛸薬師通り、南は錦通、東は東洞院通り、西は烏丸通りといえばわかるだろう。そんな大通りに接して静寂な環境の街ができそうだということがわかった。この4本の筋に囲まれた街区からコンセプトのヒントをもらったので、そのままこの場所で考えてみただけであり、この土地で実際にこうした事業が立てられる可能性は、今も将来も存在しないだろう。だがどこか他の日本の都市で再開発の必要性があって、そこで私が考えるとすればこうなるよ、ということを提案している。そんな提案が10タイプぐらいできたら、また本にしようか。それはユニークな本かもしれないが、日本ではプロジェクトの構想だけを扱った本はほとんど出版されない。こうした本は海外では比較的よくみかけるので出版するときは海外バージョンだろうか。

 さてこの蛸錦プロジェクトのpracticeも10回ときりがよいので、ここで終わりにしよう。

 

ハードウェア:Mac Pro,ソフトウェアVue Infinite2016R3

 

 

 

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