Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

セカンドライフ sonicmart制作記4.

2007年08月20日 | Design&3DCG
 プロダクトテザインが、風景の中の主役として使われることがよくある。例えばヨーロッパの古い街並みと、新しいカーデザイン(フェラーリとか・・・)といった対比的関係性は、コマーシャル分野で用いられる手法の1つである。優れたプロダクトデザインは、彫刻のような空間支配、或いは周囲への強い影響力を持っている。だからこそ風景の中の主役になれるのだろう。プロダクトと彫刻は、デザインとアートという大きな相違はあるが、マッスとしての形態だと言う点では、類似性がある。
 我々の、ソニックマートのシム制作において、こうしたプロダクトデザインが持っている空間支配力や影響力を、3DCGの世界でどのように表現するかは、制作課題の1つであった。そこで、典型的なモダンデザインの中から、幾つかの家具を製作した。そのなかの1つが、C.R.マッキントッシュ[注1]の ヒルハウス1と名付けられた椅子である。1902年のデザインであり、現在でも購入することができる。
 我々はこの椅子を3DCGで制作し、マナティー・リゾート・アイランドのコンドミニアムに設けた、細長いギャラリー空間に配置してみたのが、上図である。セカンドライフの風景を、ギャラリーの開口部が絵画のよう切り取り、点景として置かれたヒルハウス1が主役の座となり、この空間を支配することができた。つまり、絵になる風景を形成することができた。
 次に我々は、彫刻のアプローチを試みた。シムのシンボルであるマナティーを彫刻的な3DCGとして制作し、広場に配置してみた。その結果広場の点景要素として、それ自体シンボル機能はあるが、ヒルハウス1のような主役としての風景が形成されたとは言い難い部分もあったと思う。
 ここにデザインとアートとの違いがあるのだろう。プロダクトと比較して、彫刻は非常に複雑な面を多数持っているマッスである。これは3DCGでは大変制作しづらい。もちろん形態たけであれば不可能ではないが、桁違いのプリム数を必要とすることと、光や影のないシムで、量感や存在感をどのようにだすのだろうか。制作場面で我々は、結局簡略化して概念的なオブジェクト制作とした。セカンドライフは、デザインオブジェクトは制作容易であるが、アーティスティック・オブジェクトは、尚研究の余地があるだろう。

注1.Charles.Rennie.Mackintosh,1868−1928.スコットランド出身の建築家,プロダクトデザイナー,画家.数多くのクラシック・モダンな椅子をデザインしたが、社会的に認められないうちに不遇の一生を過ごした。現在、デザイン史では、必ず取り上げられる作品である。
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