goo blog サービス終了のお知らせ 

Creator's Blog,record of the Designer's thinking

毎月、おおよそドローイング&小説(上旬)、フィールド映像(中旬)、エッセイ(下旬)の3部構成で描き、撮り、書いてます。

ドローイング758. 小説:小樽の翠670.デルフト・ブルーの話

2023年07月08日 | drawing

 校外でのスケッチが終わる頃、デルフトブルーの絵の具がなくなりかけていた。日曜日だし画材屋に行けば明菜姉ちゃんがバイトしているだろう。
・・・
明菜「おじさん、圭子の話を覚えている?」
「あの両親がともに不倫している家の圭子さんかい?」
明菜「そうよ。圭子が言うには、ある日、圭子が学校から帰る途中で、両親の浮気現場を目撃してしまったんだって。ショックを受ける圭子だったけど、何も言わずに家に帰ったんだって。その日以来、圭子は家庭内での両親の態度や言動に嫌気が差し、心が荒み始めていたの。
しかし、圭子には彼氏ができたんだ。彼と出会ってから、圭子の心は明るくなったし、彼氏は圭子の話を聞いてくれて支えてくれたわけ。そして彼氏からプロポーズを受けた圭子は、結婚して家を出ることを決意したんだって。」
「ほう賢い選択だねぇー」
明菜「しかし、両親は圭子の結婚に反対したんだって。自分たちの浮気が原因で娘を失うことを恐れていたわけ。圭子は悩み続けたけど、健太の言葉で決心を固めた。『自分の人生は自分で決める。』と。そして、圭子は家を出る決心をしたんだって。」
「彼女は自分の人生を切り開いたんだ」
明菜「圭子の心は、家族の裏切りから始まった暗闇から抜け出し、光を見つけたんだというわけね。」
「彼女は苦労や傷を乗り越え、自分の人生を切り開いた勇敢な女性というわけだ。」
明菜「だよねぇーー」
・・・
デルフトブルーの絵具を手にしながら、家で着彩の続きをしよう。
夏の空が広がる小樽の街だ。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする