小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

奔馬

2010-06-12 20:57:54 | Weblog
盾の会の服装のグロテスクさ。三島の、盾の会は、思想的には、何はともあれ立派だと尊敬する。(私は右翼ではない)しかし、私が違和感を感じるのは、盾の会の服装である。三島自身、言っているが、金をかけて、非常に美しく仕立てている。(三島自身それを自慢している)しかし、盾の会は、有事の時に国を守ることが、その目的ではないか。守るためには、日本を脅かす敵と戦わなくてはならない。想定されるのは肉弾戦である。となれば、出来るだけ動きやすい服装、や、ピストルにそなえ、急所の心臓を守る防弾具、など、実戦的に戦いやすい服装にすべきではないか。盾の会のような、お洒落で、服の汚れにも気をつけなければ、ならないような、上品な軍人の晩餐会のためのような服装は、おかしい、というか、グロテスクに見える。
確かに、「葉隠れ」では外見の美、も説いている。しかし、「葉隠れ」の説く、外見の美はそんなのとは意味が全然、違う。ここで思うのは、三島由紀夫という、精神の美、に、外見の美、を両立させなければ気がすまない作家の、根本的な間違い、滑稽さ、を感じるのである。だから、それを小説で、やっている「豊饒の海」の第二巻の「奔馬」に私は文学的価値を疑問に思うのである。

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