▼「常識＝普通、一般人が持ち、また、持っているべき標準知力。専門的知識ではない一般的知識とともに理解力・判断力・思慮分別などを含む。・・・広辞苑」。常識とは、専門的知識ではなく、一般人の標準的知力で理解できることを言うようだ。マスゾエさんは東大の法科出身だ。一般人の標準知力以上の理解力を持っているはずだ。だから一般人の常識とマスゾエさんの常識には、相当の乖離があるのは当然ということになる。
▼一般国民は「周囲がどう思うか」というのが、常識の判断の規準となる。だが東大法科出身の専門家であれば、法律に違反しないものは、すべて合法だという判断になるようだ。マスゾエさんばかり批判されているが、都議会や都職員などの常識も、一般人の標準知力の常識から、相当ずれているのではないか。国民が驚くような知事の高額な支出を、異常と判断できないでいるからだ。都知事といえば、他の知事より絶対権限を持っているのだろうが、それを諌める組織になっていないので、マスゾエさんのような知事を生み出したに違いない。石原知事のほうが、マスゾエさんより使い方が激しかったが、誰にも反論させないだけ、権力を振りかざしていたようだ。
▼都民に説明責任も果たさず辞任して、後は追求しないという流れのようだが、都の監査委員の責任は追求されなくてもいいのだろうか。以前、北海道庁の不正経理事件が発覚した時、監査委員のほとんどが道庁出身者だったことに驚いたことがある。組織内部にいると、毎年恒常的に行なって来ているのは正しいものだと判断されがちだが、組織外の人から見ると、常識外だったりすることがあるからだ。
▼マスゾエ事件後の都議会議員の行動を注視してみよう。８月のリオ・オリンピックには、確か１０数名かの大勢の都議が、東京オリンピックの準備のために、視察に訪れるという。どんなホテルに宿泊するのか、どこを研修するのか費用はどのくらいかを、都民は注目して欲しい。知事がこのくらいの宿泊費なら、議員だってこのくらい使ってもバチが当たらないだろうなどと思っているのかもしれない。まさか随行員の職員が安いホテルに泊まるということはないだろう。
▼ふと考えるのだが、東京都民の電力は福島原発が提供していた。いまだに避難生活を続けている福島県民。原発が全部止まっていたにもかかわらず、電力は十分提供された。それなら、東京都民が全員で「脱原発」を叫べば、国も脱原発にシフトせざるをえないように思う。だが、東京都からは自分たちが住みやすい街を維持し続けるには、原発は必要という意識が強いように感じる。常識的な都民であれば、原発による電力が必要なのであれば、他の地域に迷惑をかけず、東京湾にでも原発を作って欲しいと訴えるべきではないかと思う。
▼話は飛躍しすぎたようだが、マスゾエさんだけが、今回断頭台にのせられ幕引きが行なわれようとするのがなんだか解せない。他に正しくないはずのことを常識的だと思い、自分勝手な解釈をしている人が、都議や都庁職員に中にいるはずだからだ。トップが腐敗しているのは、周囲もさらに根強く腐敗しているということが、ままあるからだ。国会と都政、五里霧中のまま、参議院選に突入だ。こんな日本では、アベ総理の思いのままの国になってしまいそうな気がする。
▼話は最後に飛びすぎるが、今度の都知事は民進党党首、岡田さんにやってもらいたと思っている。悪いことはしなそうで頑固だからだ。『日本を変えるには、まず東京を変える』というキャッチ・フレーズで、都知事に出馬してほしい。これは夢でなく、本当にそう思うからだ。
