函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

テレビドラマ「塀の中の中学生」

2010年10月14日 12時28分26秒 | えいこう語る
最近のテレビが、世の中にくだらなさを撒き知らしている張本人だと思っている。
でも、時々メディア本来の力をみせつけられてしまうことがある。
11日夜の「塀の中の中学生」である。
長野県のある中学の分校として、その学校はある。
義務教育を終了していない受刑者が、学ぶ学校だ。
脚本は内館牧子さん。
学生役は大滝秀治・すまけい・渡辺謙・千原せいじともう一人若い男優だ。
この5人の演技が、感動の涙を誘った。
大滝さんは名演技の域を超えた演技だ。
すまさんは、自らも病気で身体が麻痺しているにもかかわらず、身体の欠陥を生かしての迫真の演技だ。
渡辺さんは、世界に通用する顔になったようだ。眼に力がみなぎり、ハリウッドの性格俳優ロバート・デニーロような演技力をつけたようだ。
千原せいじさんは、本業は兄弟漫才師の兄である。
全身に刺青を彫ったヤクザの受刑者を熱演していた。俳優としても大成する片鱗をのぞかせた。
名前は知らないが20代の男優。
大先輩たちの中で、しっかりと勉強させてもらい、いい演技をしていた。
※正午の田舎の国道


俳優の起用も素晴らしいが、そのシナリオを書いた内舘牧子さんの構成力が見事だというより他はない。
その内舘さん、元横綱審議会の委員で、朝青龍問題では横綱の品格について、他の男性委員をしのぐ、歯に衣を着せぬ批判をした女性である。
ドラマを見ながら、この生徒役に、朝青龍を起用したらどうなったか考えてみた。
朝青龍はCMでも、役者並みの存在を見せる。ファッションショーに登場しても、他のモデルを圧倒するスター性溢れる個性の持ち主だ。
たぶん相当な演技をするだろう。
名監督小津安二郎さんの演技指導を思い出した。
「表に出すな裏に隠せ」である。
このテレビドラマの俳優たちは、皆一様に読み書きも出来ない生徒を懸命に演じ、誰もが中学生に徹した。
朝青龍なら、演技が立ちすぎ、中学生に域を脱してしまうだろう。
「己の分際を知る」というのも、品位の重要な要素なのかもしれない。
中学生を演じた5人の役者、それぞれ「心・技・体」の好演を見せてくれた。
この作品、今年度の文化庁芸術祭参加作品である。