函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

水引

2010年10月11日 08時38分08秒 | えいこう語る
野の花というのか野の草と言ったらいいのか、夏の終わり頃から、すくっと伸びた茎に小さな花のような葉のような、点状の赤がたくさん付く「水引」が、可憐だ。
一輪挿しに放り込んで見つめているので、私は野の花だと思っている。
この花が「水引」だと教えられたのは、50歳を過ぎてからだ。
ちょっとした縁で知り合ったT嬢、日本舞踊で人間国宝でもある方の愛弟子だった。
お互い再婚同士だったが、縁あって私の友人に嫁ぎ、北海道を去っていった。
去り際に、小さな会館を借り、踊りを披露してくれた。
そのT嬢が「水引」を教えてくれたのだ。


先日、千葉に住んでいる高校時代の友人のY嬢が、銀座に出かけたおり鳩居堂で買い求めた便箋を送ってくれた。
鳩居堂の存在を教えてくれたのは、Y嬢である。
その中に「豆知識しおり」が入っていて「水引」のことが書かれていた。
『紐状にした和紙を糊で固め、用途に応じて様々な色で固める。一般的に慶事には紅白や金銀、弔辞では黒白や銀色を選ぶ。結婚やご不幸といった一度限りのことには、ほどけない「結びきり(固結び)」で、結ぶ・・・。』
Y嬢の「固結び」は、一度切れてしまった。
その後、陶芸に打ち込み、函館の海の色を持ち味として、県展で何度も入選している。
漁師見習の私としては、Y嬢の創作意欲を掻き立てるため、海の色が季節と時間で変化する様を、報告する役割だ。
一方、T嬢の「固結び」は、少し緩んできた感じもするが、今のところ「結びきり」でいるようだ。
昨日の長雨も上がり、今日は秋晴れの、気持ちのよい朝を迎えた。
秋の野の花が、二人が元気に暮らしていることを、私に語りかけてくれた。