夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

夜の散歩

2012-09-13 22:42:36 | 日記
今月末の締め切りに向けて、ある論文を書いているのだが、なかなか進まない。

ちょっと書いては休み、また書いては休み、まさに蝸牛の歩みである。

ただ、私にとっては、自分を表現できる手段は、授業と文章を書くことしかないので、今の自分にできる限りのことをするしかないのである。

昨日のミック・カーンの言葉ではないが、文章を書くことの中に、私の自己実現も自己表現も自己逃避もある。

先ほども、進まない論文を途中で置いて、外に散歩に出かけてきた。

完全に現実逃避だが、一方で、普段は気づかないことに気づくのも、こういう時である。

昼間にもきっと鳴いてはいたのだろうが、夜はことに虫の鳴き声が耳に響いてくる。歩みを止めて、じっと耳を澄ますと、先ほどまでは一つの音の響きにしか聞こえなかったものが、コオロギ、スズムシ、ウマオイなど、それぞれの鳴き声が別個に聞こえてくるようになる。冬にはいなくなってしまう虫たちは、今が自分たちの季節と知って、盛んに鳴いているのだろうな、と思った。


  虫の音のしげき野辺かな秋の夜をおのが時とや鳴きわたるらむ

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