夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

N・ヒル『仕事の流儀』(その10)

2012-11-21 22:15:46 | N・ヒル『仕事の流儀』
第12章でヒル博士は、仕事を選ぶことの重要性を強調している。我々は自分の望むどんな立場でも選ぶ特権があり、また、他のどんな人間も、自分を満足させてくれるような選択をすることはできないのだから、どんな仕事を選ぶかは自分一人だけが引き受けることのできる責任なのだと。

Performing labor that one does not like is one of the great tragedies of civilization. Stating the case conversely, voluntary choice of an occupation that one does like and into which one may throw himself wholeheartedly requires greater willpower and more force of character than the average person is disposed to exercise.
(“How to sell your way through life”‘12 Choosing your job’)

ヒル博士は、自分の好きでない仕事を行うことは、大きな悲劇であるという。逆に、自分が本当に好きで、平均的な人よりも大きな意志力と、より多くの人格の力をその仕事が要求するとしても、心から自分自身を捧げることのできるような仕事を自分の意志で選択すれば、進んで訓練する気にもなるものだ、ということを言っている。

これは私の経験からも、その通りだと共感する。勤務時間内だけ働いて、所定の給与がもらえればよいとか、自分の今の能力でできる(、あるいはもっと楽な)仕事でいい、とかいうのでは、働いている甲斐がないと思う。自分の能力以上の仕事を任され、仕事を通じてスキルとともに意志力や人間性を高めていくことも、働くことの喜びだと思うのだが。

No man can be happy without some form of occupation. Many have tried to find happiness in idleness. They have failed. Enduring happiness comes through serving. All other forms of happiness are transitory and delusive. ~the happiness comes from aiming, hoping, creating, and building plans for future achievement.

ヒル博士がいうように、幸福はなんらかの形の仕事を通じてもたらされるのであり、多くの人が、無為に遊んでいるなかに幸福を見いだそうとしているのは間違いである。持続する幸福は、奉仕することのなかから生じる。それ以外の全ての形の幸福は一時的なものにすぎず、偽りの幸福である。~幸福は、将来達成したい計画を目指し、望み、創造し、建設することから生じる。

『仕事の流儀』も、これで半分ほど読み進めたことになる。拙く、遅々たる歩みではあるが、少しずつ確実にヒル博士の言うことを理解していきたいと思う。